研究課題/領域番号 |
19K14285
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 知加 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 助教 (30581558)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 集団活動 / 友人関係 |
研究実績の概要 |
本研究においては、自閉スペクトラム症児が集団参加する際の行動について検討することを目的としている。2023年度は、自閉スペクトラム症児(ASD)が仲間関係をどのように認知するのかに関する理論構築および調査研究を行った。 人は動きの同期する2者を観察したとき、その2者はより親密だと認知する。子どもにおいても同じ傾向が見られるが、ASD児では、定型発達児と比較し、親密性の認知の程度が弱いことが知られている。また、直接観察されてはいないが、動きが同期している場面を観察すると、そこに2者の共有意図を認知し、親密性判断に結びつく可能性も示唆されている。ASD児においては、同期する2者を観察した場合に共有意図を認知することが少ないのではないかと仮説を立てた。2023年度は、仮説検証のため、定型発達児における同期場面の観察と共有意図の認知、親密性を含めた友人関係の質の判断に関する調査を行った。また、ASD児対象の調査を実施するため、倫理委員会での審査を受けた。 また、集団でのASD児のソーシャルスキルトレーニングにおける変化の性差について検討を行い、The 11th Congress of The Asian Society for Child and Adolescent Psychiatryでポスター発表を行った。社会的スキル、問題行動、社会的コンピテンスをSST前後で測定し、性別を含んだMANOVAを実施した。介入の主効果(改善)がコミュニケーションスキル、外向的問題行動、問題行動総得点で見られた。性別と介入の交互作用が集団行動(男児で有意に改善)、内向的問題行動(非有意だが女児の平均値が改善)、社会的コンピテンスの自己価値(非有意だが女児の平均値が改善)で見られた。ASD女性は成人期において内的問題が多いことが指摘されており、学齢期におけるSSTが予防の役割を担う可能性を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していた集団での調査の被験者が集まらず、調査内容を修正したため
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今後の研究の推進方策 |
集団での調査についても募集を継続するが、それと同時にASD児における仲間関係の認知に関する調査を実施する。2024年度前半でASD児のデータを収集、分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
集団での調査が滞り、分析や謝金等において予定していた利用が困難であった。 2024年度においては、ASD児を対象とした調査の実施し、論文等での報告を行うため、謝金等での支出が見込まれる。
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