令和5年度は、令和2年~令和5年に取り組んだライフキャリアの能力・態度に関わる調査・指導実践を総括し、その成果と課題を報告するために学会で発表した(10.研究発表〔学会発表〕参照)。そこでは特別支援学校教員等実践者と意見交換し、また大学教員等学識経験者からの助言や指摘を得て、開発した“授業づくり”の要点の有用性について肯定的な評価を得ることができた。 次にライフキャリア発達支援のための授業づくりの要件(大谷、2023)が教科指導においてどのような意義があるのかを確認するために共同研究を行った。同研究では、まず主に令和3年~5年の研究成果に基づいて、ライフキャリア教育プログラムと支援のモデルを検討するために、これまで分析してきたライフキャリア教育実践を改めて「基本となるキャリア教育」と位置づけた。一方、「基本となるキャリア教育」を進める中で確認された児童生徒の課題に迫る必要も出てくることから、これらを「課題に焦点化したキャリア教育」として捉え返し、「基本となるキャリア教育」と相互に影響し合い、ライフキャリア発達を促す教育活動が、ライフキャリア教育プログラムであるという結論を得た。特に「課題に焦点化したキャリア教育」については、ライフキャリア発達支援の概説(10.研究発表〔雑誌論文〕参照)、児童期の支援とその要点(10.研究発表〔雑誌論文〕参照)、青年前期(中学校)の支援とその要点(10.研究発表〔雑誌論文〕参照)、青年中期(高等学校)の支援とその要点(10.研究発表〔雑誌論文〕参照)の4区分を抽出し、発表した。また、先のライフキャリア教育プログラムの有用性を検証するために、小学校の算数科に視点をあて、実践研究に取り組んだ。これらの成果は、「特別支援教育におけるキャリア発達支援―ライフキャリア教育プログラムに関わる授業づくり―」として発表した(10.研究発表〔雑誌論文〕参照)。
|