研究課題/領域番号 |
19K14288
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高橋 甲介 長崎大学, 教育学部, 准教授 (10610248)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 行動および興味の限定された反復的な様式 / 自閉症スペクトラム障害 / 応用行動分析 |
研究実績の概要 |
自閉症スペクトラム障害(ASD)を定義する障害特性のひとつである「行動および興味の限定された反復的な様式(Restricted, Repetitive Behaviors and Intersets, RRBIs)」は、ASD児者の行動問題のリスク要因のひとつとされている。それにも関わらず、国内および国外において、RRBIsに関して特に介入研究は少ない現状である。行動問題のリスク要因の一方で、RRBIsの特性は、ASD児者の余暇の充実や社会的適応において、肯定的な影響をもたらしているケースも存在している。本研究はASD児者のRRBIsについて、主にその「行動型」と「機能」から検討・分類を行い、望ましい行動を増やすアプローチでRRBIsに関連する行動問題を軽減する方法や、望ましい行動を増やす手段としてRRBIsに関連する情報を活用する方法について明らかにすることを目的としている。 2021年度は、国内のRRBIsに関する応用行動分析学に基づいた介入研究の動向についてレビューを行った。国外の先行研究を参考に、RRBIsに関連する標的行動に関する機能的アセスメントの実施の有無、標的行動、研究デザイン、介入方法、結果の観点からまとめ、国内における研究のニーズを明らかにすることができた。 2021年度も対面による事例研究の実施に制限があったが、予備的に、RRBIsに関連する情報を、先行事象や後続事象として用いる実践研究を実施し、その効果について検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、ASD児の募集を行い、RRBIsに対するアセスメントを行い、アセスメントに基づき、RRBIsに関連する問題行動を従属変数にした介入研究と、RRBIsに対するアセスメントを行い、アセスメントの情報をへの望ましい行動の促進に活かす介入研究を行う計画を立てていた。しかしながら、コロナウィルス感染者数の増加によっては研究の中断や終結といった対応や計画の縮小が余儀なくされ、予定したデータを収集することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウィルス感染症により今後も不透明な状況が続くと考えられるので、対面による事例研究と並行して、オンライン等を用い、学校等と連携した間接支援による事例研究を実施するなど対応する。結果については、先行研究でのレビューにおいてまとめられた分類によって、ASD児者のRRBIへの行動的介入プロトコルの整理を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度に先行研究等を踏まえた事例研究を行い、対象児の募集や学生アルバイトの募集を行う予定であったが、コロナウィルス感染症の為、対面による事例研究の実施が予備的なものにとどまった。また、学会もすべてオンライン開催になったため、旅費を使用する機会がなかった。 このため事例研究によるデータ収集を次年度に行うこととした。データ収集や学会や論文等での成果発表に係る経費、学会参加に係る経費に未使用額の経費を充てることとしたい。
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