研究課題/領域番号 |
19K14289
|
研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
茂木 成友 東北福祉大学, 教育学部, 講師 (50761029)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 聴覚障害 / 漢字 / 読み / 認知モデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、聴覚障害児の漢字の読み習得の特徴を明らかにすること、および、彼らが用いる主たるコミュニケーション手段の違い(音声か手話か)が、漢字の読み習得にどのような影響を及ぼすか明らかにすることである。さらに、漢字の読み習得に影響を及ぼす漢字要因あるいは認知要因を整理することで、漢字の読み認知モデルを作成することである。 2021年度は、2019年度から継続的に行っている漢字の読み達成度テストを実施し、3県3校の聴覚支援学校の生徒22名のデータを収集した。その結果、縦断的な観点から事例を分析すると学年上昇に伴い漢字の読み習得の成績が向上することが示された。一方、横断的な観点からみると、中学部1年生段階の聴覚障害児でも、中学校3年生段階の健聴児よりも漢字の読み成績が高い生徒もいることが明らかとなった。これらのことから、聴覚障害児は個別性が高く、彼らの認知特性に基づいた漢字の読み習得モデルの必要性が明らかになった。 また、漢字の読み達成度テストの分析結果については、日本特殊教育学会の年次大会において発表し、また、聴覚障害児の言語発達に取り組む研究者の発表を踏まえて、本研究結果の妥当性についての検討を行った。 さらに、これまでに蓄積したデータをもとに、音声言語、あるいは手話を主たるコミュニケーション手段としている聴覚障害児が、それぞれどのような認知特性を有しているのかを類別し、それぞれの聴覚障害児の漢字の読み習得の特徴を比較、検討した。また、主たるコミュニケーション手段の違いと漢字の読みテストの成績について、比較検討を行った。 これらをもとに、主たるコミュニケーション手段として音声を用いる聴覚障害児と、手話を用いる聴覚障害児とでそれぞれの漢字の読み認知モデル(試案)の作成を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査対象者の募集にあたっては、主たるコミュニケーション手段が異なる生徒を複数人ずつ集めることができたが、感染症等の影響で、個別の認知検査の実施が困難であったため。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度と同様の調査を継続しデータを蓄積していく予定である。個別の認知検査の実施については、調査協力校と協議を行っており、可能な限り実施していく予定である。なお、2020年度以前と比して、調査協力校は増加しており、各地区の感染症等の状況を見極めて、適宜認知検査等の個別検査を実施する予定である。 また、個別の認知検査の実施が困難な時期には、これまでに得られているデータを基にした構造方程式モデリング等を実施し、漢字の読み認知モデルの作成まで実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で、個別の認知検査が実施できなかったため。
|