本研究の結果から、手話併用環境下で教育を受ける聴覚障害生徒において、漢字の読み習得を困難にする要因等が明らかになった。具体的には、一貫性が低い漢字熟語の場合、聴覚障害生徒の漢字の読み正答率が低くなることが示された。一貫性が低い漢字、すなわち多様な読み方を持つ漢字については、学習活動の中で、各漢字が持つ多様な読み方を指導する重要性が示唆された。また、漢字の読み習得に影響を及ぼす生徒自身の認知要因として、特に語彙の能力が挙げられた。語彙の成績が高い生徒ほど、漢字の読み成績が高く、漢字の読み指導にあたっては、漢字の形と読み仮名を反復学習させるだけでなく、漢字が持つ意味を指導する重要性が示された。
|