本研究で行った音読・語彙判断実験結果より、以下の仮説がたてられた。①仮名の読み処理は、英語の二重経路モデル同様に、視覚分析、語彙経路、非語彙経路、出力バッファーから成るシステムで読みが成立する。②仮名の文字列を処理する非語彙経路は、原則、文字単位での処理を基本とし、漢字の読み処理と独立した経路として存在する可能性がある。③音韻能力の他に、視覚認知力の弱さによって、仮名の非語彙経路の獲得・使用に障害が生じうる。④発達性ディスレクシア例が示す読みの流暢性の問題において、語彙経路が十分に使用できない理由として、文字列レキシコンのサイズが小さいこと、文字列レキシコンの活性が十分でないことが考えられる。
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