研究課題
若手研究
読み書きの困難がある小学生を対象に、漢字を知覚し記銘する際の眼球運動を計測し、漢字の視覚的処理の特徴について検討した。その結果、漢字の下部よりも上部の注視時間が長く、左右の領域に顕著な差はないこと、漢字の形態によって注視領域が異なることが明らかになった。また、漢字の記憶と想起が弱い事例では、特定の領域のみを注視する傾向があり、記銘時に漢字の構成要素を知覚できていない可能性が示唆された。
特別支援教育
本研究では、眼球運動計測により読み書き困難児の漢字の視覚的処理の特徴を明らかにすることができた。本研究で用いた眼球運動のような生理指標の計測は、困難の背景要因を推定するうえで有用な情報を提供するものと考える。神経心理学的検査と併せて眼球運動計測による生理学的データを得ることは、視覚的処理のプロセスや特徴について信頼性の高い分析と深い解釈が可能となり、読み書き困難の個々の要因に応じた適切なアプローチにつながることが期待される。