研究課題/領域番号 |
19K14302
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研究機関 | 北翔大学 |
研究代表者 |
石塚 誠之 北翔大学, 教育文化学部, 講師 (90726118)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学習障害 / 幼児 / 算数困難 / 読み困難 |
研究実績の概要 |
学習障害児のうち、読み困難、算数困難が疑われる児童は、通常学級に在籍する児童の約4.5%程度に上ると報告され、特別支援教育の枠組みを超えて学校教育全体の大きな課題となっている。しかし、実際のところ学習困難児への指導については、既に研究における蓄積が進められており、近年、学校場面において「学習困難が疑われた段階でいかに早期に効果的な支援を行えるか」という点に焦点が当てられている。 これまでの実践では、学習困難が重篤化してから支援が開始されるため,既に学習に対する苦手意識が固まっているなど、二次的な問題が状態を複雑化させていると指摘されていた。しかし、幼児期からその困難さをアセスメントし、早期に効果的な指導を行うことで大きな効果が期待される。そこで、本研究が目的とするのは、学習障害に対するリスクを幼児期に評価し、支援につなげる包括的なシステムの開発ならびに、その効果を実際的に検証することである。 2019年度は初年度であり、石塚ら(2012)や石塚 ら(2013)で用いた早期の算数困難スクリーニング法、読み障害を対象とした小枝ら (2011)・石塚ら(2018)の研究成果について、幼児期に実施可能な学習障害の早期支援プログラムとして活用するための予備調査を実施した。また、幼児教育施設等・小学校において、教師の指導法・支援行動の実態及びその変容、対象幼児・児童の学習時の行動の実態及び変容について参与観察等、調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
石塚ら(2012)や石塚 ら(2013)で用いた早期の算数困難スクリーニング法、読み障害を対象とした小枝ら (2011)・石塚ら(2018)の研究成果をもとにした介入を複数の幼児に適用し、予備的な検討を行った。また、同課題を小学校1年生の児童にも実施することができ、幼児期に実施可能である包括的な学習障害の早期支援プログラムの作成及び、その実施手続きを検討する上で、研究はおおむね順調に進展しているといえる。一方、当初の計画よりも研究を進めるため、2020年1月から3月にかけて実施予する定であったが、幼児教育施設における調査が新型コロナの影響で延期となった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、幼児期に適用できる学習障害の早期スクリーニング法について検討しているが、算数・国語は多領域で構成されており、様々な認知能力が寄与するといわれている。そのため、スクリーニング課題の精度を上げるため、必要なテストバッテリーについても検討を進める予定である。今年度、新型コロナの影響で集団での実施が困難になる可能性があるため、調査受け入れ機関の意向等も確認し、少人数での実施等も可能になるよう、必要な実験機器の整備などについても進めていく。また、他にも研究実施について必要な要件について確認を進め、対応を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響で幼児教育施設で実施を予定していた調査が延期となったため、次年度使用額が生じた。今後、新型コロナが収束し、調査実施施設において調査が可能となった際に、少人数での調査等にも対応できるよう研究実施に必要な機器等の整備等を進める予定である。
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