研究課題/領域番号 |
19K14303
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
大井 雄平 常葉大学, 教育学部, 講師 (40802997)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 特別支援教育 / 実験系心理学 / 知的障害 / 神経発達障害 / ワーキングメモリ / 短期記憶 / 認知神経科学 / NIRS |
研究実績の概要 |
ワーキングメモリとは、課題遂行のために一時的に必要となる記憶のことであり、思考や行動の基盤となる認知機能である。ワーキングメモリは知的障害児・者の困難と密接な関係にあり、彼らへの支援のために理解されるべき重要な認知機能として注目されている。本研究は、知的障害児・者におけるワーキングメモリの特性を行動と脳活動の両面から明らかにし、得られた知見に基づく教育支援方法を考案・検証することを目的とするものである。 本年度の研究では、ワーキングメモリの中でも、知的障害児・者における視空間性ワーキングメモリの特性を明らかにすることを目的とした。詳細な検討を行うために、視空間性ワーキングメモリの下位分類である同時的視空間性ワーキングメモリと継次的視空間性ワーキングメモリを分けて同時に検討することとした。 上記の目的の下、知的障害児・者および非言語性知能が一致する定型発達児を対象に、同時的視空間性ワーキングメモリ課題(すべて同時に呈示される記銘刺激の位置を覚える)と継次的視空間性ワーキングメモリ課題(一つずつ呈示されるの位置を覚える)を実施した。両課題の実施と同時に、近赤外線スペクトロスコピー (NIRS) を用いて、両課題遂行時における前頭前野の脳血流動態を計測した。本測定は知的障害児・者や低年齢の定型発達児に対して問題なく行うことができ、NIRSによる脳機能計測が、実験環境の影響を受けやすいと考えられる両者を対象とした測定に適切であることが確認された。 本年度では、当初予定されていた数にはいくらか到達しなかったものの、一定数のデータを得ることができた。あわせて、次年度に実施予定である実験課題を作成し、測定の一部を上記の測定と並行して開始することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、測定の一部が中止となったため、本年度中には、当初予定されていた測定回数に到達しなかった。したがって、不足するデータを次年度に得る必要があるが、その数は多くない。また、上記の測定と並行して、次年度に本格的に測定を始める実験課題によるデータ収集を一部実施することができた。以上を総合して、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、本年度に予定されていたデータ収集を完了させるとともに、異なる実験課題による測定を実施し、データ解析を行って結論を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う測定の中止により調査旅費の使用が少なくなったこと、および学術雑誌への投稿論文の再検討により英文校正等の論文投稿関連費が使用されなかったことによる。次年度では、調査旅費、論文投稿関連費、および測定のための物品購入費として主に使用することを計画している。
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