研究課題
本研究の目的は、自閉スペクトラム症児の子育て支援における階層的支援システムを開発し、その有効性を示すことである。そのために、本研究では2つの研究を行い、研究1では遠隔自学習による子育て支援の開発と評価を、研究2では自閉スペクトラム症児の子育て支援の階層的支援システムの有効性検証を行う。階層的支援システムは公衆衛生や教育の領域で応用が進められており、支援対象者のすべてにまず、ユニバーサルとされる効果範囲が広い支援を提供する。その効果があまり出ない対象には小集団の支援を提供し、その効果も出なければ個別支援を提供する。その特徴は、支援対象の範囲が広く、問題を予防するモデルであることにある。2019年度は研究1の準備として、遠隔自学習によるペアレント・トレーニングを開発した。具体的には、研究代表者がこれまでに行ってきたペアレント・トレーニングのプログラムをもとに、スマートフォンやタブレット端末を介して保護者が子育て方法について自学習できる、アプリケーションを開発した。これまでの研究で、ペアレント・トレーニングは効果が示されている。しかし、課題として、実施者の不足などの点から、我が国の支援機関に普及されていないことが指摘されている。アプリケーションは他の支援領域でも、広い対象範囲の効果が確認されており、子育て支援の一次支援への適用が期待される。2020年度は、この開発したアプリケーションを用いた子育て支援の効果研究を行う。
2: おおむね順調に進展している
2019年度は研究1の準備として、遠隔自学習によるペアレント・トレーニングを開発した。具体的には、研究代表者がこれまでに行ってきたペアレント・トレーニングのプログラムをもとに、スマートフォンやタブレット端末を介して保護者が子育て方法について自学習できる、アプリケーションを開発した。これを用いて、2020年度は研究1の効果評価研究に着手できる。
2020年度は、開発したペアレント・トレーニングアプリケーションの効果研究を行う。研究参加者の募集は、複数の児童発達支援事業所を介して行う予定としている。新型コロナウイルス感染予防等の状況を鑑みつつ、研究を進めていく。
2019年度中に作成することを予定していた、ペアレント・トレーニングのアプリケーションの開発の一部が、2020年度に行うことととなった。そのため、この開発費を2020年度に試用する。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 図書 (1件)
Journal of special education research
巻: 8 ページ: 41-52
臨床発達心理実践研究
巻: 14 ページ: 155-162