研究課題/領域番号 |
19K14311
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
佐久間 亨 筑波技術大学, 保健科学部, 講師 (60646842)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 視覚障害 / 触覚 / 直観的理解 / 運動学 / 教材 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,視覚障害を有する理学療法学専攻学生のための運動学分野の教材を作成することであり、ヒトの基礎的動作の正常および異常の力学的メカニズムを学ぶ臨床運動学の教材として、模型等を用いた筋骨格モデルや表面筋電情報に基づく動作分析シミュレータの開発を目指している。
令和2年度に本学の視覚障害学生を対象に聞き取り調査を行った結果、ヒト型全身模型を把持するよりも、例えば下肢(大腿部、下腿部、足部)のみの様に部分的な模型を把持したほうが直感的に模型の姿勢や関節角度の変化を理解できるとの回答が多かった。そこで本年度は、引きばねを筋肉に見立て、股関節周囲の各筋を解剖学的な3次元走行に一致するよう骨盤・股関節の骨格模型に配置した筋骨格モデルを作成した。一般的に市販されている筋肉解剖模型はシリコン等の素材を用いて筋形状を忠実に再現しているものの関節可動性が乏しい。今回作成した筋骨格モデルでは関節可動性を有しバネ張力が筋張力を模擬するので、筋張力、関節トルク、関節圧迫力等の運動学で重要な概念を教示するのに適している。
本年度は新型コロナ感染対策のため対面授業が行えなかったため残念ながら学生からの意見を聞くことは出来なかった。次年度、対面授業が可能な状態であれば、実際の講義に導入していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は新型コロナ感染対策のため対面授業が行えなかったため残念ながら学生からの意見を聞くことは出来なかった。次年度、対面授業が可能な状態であれば、実際の講義に導入していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
筋電図は筋肉の活動度の大きさを反映する指標であるが、視覚障害のある学生がいわゆる「波形図」を詳細に読み取ることは難しい場合もある。そこで次年度は、表面筋電情報に基づく動作分析シミュレータの開発を目指す。具体的な仕様は現在検討中であるが、AR(Augmented Reality)技術を利用してヒトの身体運動と筋電情報を複層描画することで、運動学の初学者が個別の筋活動と全身運動の関係を直観的に捉えられるのではないかと予想している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年に作成できた教材は筋骨格モデルのでみで、購入した物品は骨格模型、引きばねおよび部材等の比較的安価な物であった。次年度に作成する動作分析シミュレータでは無線型表面筋電計、ヘッドマウントディスプレイ、3Dカメラ、AR描画のためのソフト開発等に予算を当てる予定である。
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