研究課題/領域番号 |
19K14317
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
関 陽介 徳島大学, 高等教育研究センター, 特任講師 (10623704)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 対話システム / チャットボット / 可視化 |
研究実績の概要 |
令和元年度は大学の広報活動をフィールドにして,目的達成の準備が不十分な者や情報収集が不慣れな者(主に高3生や既卒生などの受験生)を対象にした,質問者の潜在的・顕在的な要求に応じた情報発信に関する実用的な仕組みを設計・システム開発・導入した.具体的には,過去とリアルタイムの質問履歴を用いた嗜好分析の結果と,第三者のおすすめ情報により,個人属性を考慮したユーザの参考となり得る情報を質問形式で推薦する機能を検討し,実用的な対話システムを開発した.そして,徳島大学の受験生向け広報活動に本システムを2019年4月から導入[1]した.約1年の導入結果より,平均質問件数は推薦文の未利用者が2.28件で,利用者は9.49件まで増加したことを確認した.受験生における意志の不確定さや情報収集能力に起因する制約の解決に貢献でき,ユーザの情報収集を支援できたと考えられる.また,本システムはシステム主導で情報推薦しており,ユーザが把握すべき情報が不明な状況や,漠然と興味がある情報を効率的に収集する場面において,有効と考えられる. 一方で,導入後のシステム運用において,対話システムの改善点(回答不可や誤回答した質問文など)を調査するために,利用状況の分析作業が重要になる.ただし,従来の方法ではログ解析や簡易な管理機能が用いられており,詳細な分析は困難である.そこで,分析作業の支援を目的として,利用状況を可視化して直感的な分析を実現する研究を進めており,令和元年度では要件定義・設計・システム開発まで行った. [1] https://taiwa.honbu.tokushima-u.ac.jp/taiwa/ui/toku
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は対話システムの試験的システム導入・データ収集・調査・機能設計・開発,そして成果報告を計画していた.当該年度の実績としては,システム開発・導入や効果測定を行い,得られた結果を活用して新たな研究を展開できた.一方で成果報告については,学術雑誌へ投稿中(2019年3月時点)のみであり,年度内に研究成果を公表できなかった.そのため,進捗状況は「おおむね順調に進展している」と考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は導入している対話システムのシステム更新,データ収集,関連技術・研究動向の調査,機能設計・開発を計画している.また,利用状況を可視化して分析作業を支援する研究を進展させ,効果測定ならびにこれまでの研究成果も含めて,学会発表や学術雑誌への投稿等により成果報告をする.
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次年度使用額が生じた理由 |
対話システムを開発・稼働させるためにPC1台・サーバ2台を購入予定であったが既存機器を利用できることが判明したこと,成果報告として学会発表を予定していたが学術雑誌への投稿に変更したこと,が大きな要因となり次年度使用額が生じた. 令和2年度では,既存機器の老朽化に伴い開発用PCの購入,国際学会への発表,協力者の確保(謝金)などを積極的に検討する.
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備考 |
令和元年度に開発・導入した対話システム ※とくぽんtalk(徳島大学学生向け)は本学構成員のみ利用可能
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