本研究の全体的な目的は,教員養成段階での正課内外における学びの連環を促す学習環境デザインを教職志望学生のタイプに基づき構築及び検証することであった。 最終年度である2022年度は,依然として新型コロナ感染症拡大防止対策に附随する制約があった。しかし,これまでの研究知見を総括し,教職志望学生の学習タイプに応じ,正課内外における学びの連環を促す学習環境デザインを事例的に複数提案・構築し,プログラム評価の観点から効果検証及び課題改善に着手した。 具体的には,教職志望学生の教職キャリアイメージ,ニーズ,学年段階等の学習タイプに応じ,正課外での活動の場および省察の機会を協働で創り,準正課活動としての支援を行った。活動の場としては,「言葉と数の教室(小学1年生に対する放課後の学びの支援)」,「和サークル(不登校支援の居場所づくり)」,「授業観察」,「中学生に対する学びの支援(数学プロジェクト,英語プロジェクト,体育プロジェクト)」であった。その結果,教職志望学生自身の資質能力向上や次の課題の可視化に繋がることを事例的に示した。なお,教職志望学生の学びを支援するためには,正課内だけでなく,正課外での活動の場だけでなく,当該活動を個人および集団で省察する場が必要であった。加えて,教職志望学生の正課外での活動を教職員が支援する準正課活動として展開するためには,活動の場を創る関連機関や組織との協働体制も必要であることを示した。 なお,教職志望学生の学びを正課内で深める手法として,2019年度よりリアクション・ペーパーに着目してきた。当該内容に関する実践の1つを論文として公表した。
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