研究課題/領域番号 |
19K14319
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田村 かおり 九州大学, 基幹教育院, 学術研究員 (00762535)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | e-Learning / 学習の難しさ / 理解 / 視線 / 脳波 / 認知 |
研究実績の概要 |
e-Leaning教材を利用した学習中に、学習者が「難しさ」を感じる教材箇所を生理応答から推定することを目指した。設定した教材について、学習中の視線および脳波データを統合的に解析し、得られた結果を国内学会(マルチメディア・分散・情報とモバイル DICOMO2019シンポジウム、2019年7月、福島)および国際学会(1. Learning@Scale、2019年6月、シカゴ、アメリカ、3. International Conference on Education and Service Science、2019年9月、武漢、中国)にて発表している。 結果として、数式や難解な文章など、ある特定の部分に対して特徴的な生理応答が見られることが明らかになった。視線データからは視線停留時間、脳波ではベータ波帯域などにその特徴が観察された。この生理応答特徴をバイオマーカーとして利用することで、より詳細な「難しさ」の推定が可能になると考えられる。 さらに、学習の「難しさ」が教材内容のみならず学習環境によって影響される可能性を考慮した。学習環境の屋内温熱感覚が学習効率などの作業生産性にどのように影響するかを明らかにするため、実験準備等を行っている。実験環境の検討を行うため、三菱重工総合研究所の試験室を見学した。今後の実験で利用するかは検討中である。 新たな基礎実験を行うために、論文サーベイを行っている。サーベイ結果について他プロジェクトで共同研究を行っていた共同研究者とディスカッションを進め、実験準備の基盤としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、研究担当者が参画していた「JST未来創造事業・持続可能な社会の実現領域」における関連研究プロジェクトの研究機器を共同で利用して研究を進めることを考えていた。しかしながら、研究プロジェクトの早期打ち切りが決定し、研究担当者の所属や専従義務等も変更になり、当初想定していたような科研費研究の大幅な計画変更を余儀なくされた。 計測機器等については新たに利用可能な目処がついたため、初年度に想定していた基礎的実験を次年度ですみやかに行う。
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今後の研究の推進方策 |
研究機器は共同利用機器等の利用を検討しながら、初年度に行う予定だった実験を実施する。ただし、新型コロナウイルス流行の程度によっては、実験計測に脳波や視線計測を利用できない可能性もある。その場合は、オンデマンド授業のための教材を実験用に利用し、授業システム等で計測できるような行動指標・アンケート等を計測し解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に研究専従義務の変更があり、当初の予定どおりの研究が遂行できなかったため。次年度は所属機関の異動等があることから、当該年度未使用分の助成金とあわせて、新たな機関での研究実施環境整備に使用する。
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