研究課題/領域番号 |
19K14319
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
田村 かおり 福岡工業大学, 情報工学部, 助教 (00762535)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳波 / 視線 / e-Learning / 複数感覚 / 認知 |
研究実績の概要 |
1.遠隔教育中の視線計測システム開発 新型コロナウイルス感染対策のため、全国的に遠隔授業へのニーズが高まった。本年度はウェブ上での教材閲覧中・小テスト実施中に、学生がどこを注視していたか計測するシステム開発を行っている。現在は開発段階であるが、今後本システムを使用して、実際に閲覧中の視線計測を実施する予定である。
2. 環境要因が学習に及ぼす影響の検討 学習を効率よく進めるためには、注意・記憶などの認知機能が関わってくる。注意や記憶などを阻害する要因が増えることで、学習中の「つまずき」を増加させる可能性がある。 本研究では、学習教材だけでなく、学習環境が認知機能を阻害する可能性を考え、検討した。環境要因には様々なものがあるが、今回は嗅覚刺激を対象とし、嗅覚刺激条件下での認知機能影響について、行動データおよび脳波データを計測し、検討している。2020年度には実験用プログラムを開発し、計測を開始した。しかしながら新型コロナウイルス感染対策のため、ヒトを対象とする計測はあまり進んでいない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究ではヒトを対象とした計測が必須である。しかし、新型コロナウイルス対策のため、大学に学生が足を運ぶ機会が激減した。また、キャンパス内の立ち入り規制等もあり、実験実施自体ができない期間が長かった。実験実施のために、感染対策を徹底しようと試みたものの、実験者と実験参加者両方の安全を確保するための準備に時間がかかり、実際の実験内容以外の部分で研究が進まないことが多かった。 キャンパスの立ち入り規制が解除された後も、授業形態がほとんど遠隔授業であったことから、実験参加者募集をかけてもほとんど集まらなかった。感染状況が日々変化するにつれ、実際に計測する実験者からも「大学まで公共交通機関使用するのに不安がある」「不特定多数の学生と接するのが不安」などの要望が出たこともあり、2020年度は成果を出せるほどの実験が実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
【遠隔でも計測できる手法開発】 当初予定していたような「ヒトを対象とした生体情報計測」を含む実験は、今後しばらく実現できない可能性が高い。そのため、遠隔でも計測可能な手法開発を急ぐ必要がある。
「研究実績の概要 1. 遠隔教育中の視線計測システム開発」で示したような手法開発を急ぎ、オンライン上での実験や遠隔計測可能な方法を模索する。ただし、当初予定していた研究方法から大幅な変更が必要となる。 さらに、小型で扱いやすい計測機器を複数台取り揃えて、在宅計測ができるような実験への切り替えも視野に入れる。そのために、備品購入の予定を変更する可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、計画していた実験等がほとんど実施できなかった。そのため、実験参加者に支払う謝金を支出できなかった。 実験計画が進まないため、予定していた機器購入も再度検討に入った。 さらに、渡航制限がかかった影響もあり、研究成果発表の予定なども大幅な変更を余儀なくされた。もともと参加を予定していた国際学会等も多くがキャンセルとなり、旅費の使用自体ができなかった。 国内・国外の感染状況が落ち着かないことを踏まえ、次年度は資金の使用内訳を大幅に考え直す。旅費に使用できない分、小型の計測機器等を複数購入し、遠隔でも計測可能な環境を揃える。オンラインでの実験を増やし、人件費・謝金はオンライン実験の参加者へ支払うように計画を変更する。
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