研究課題/領域番号 |
19K14319
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
田村 かおり 福岡工業大学, 情報工学部, 助教 (00762535)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学習 / 遠隔授業 / 認知 / 語彙 / 読解力 |
研究実績の概要 |
コロナ禍で2020年度は大幅に研究計画の変更を余儀なくされたものの、2021年度は以下のような研究成果を得ることができた。 【語彙力と新規知識獲得の関係】 オンデマンド講義での学習効率に対し、学習者の語彙力がどのように影響するか検討した。学習者に事前に語彙力テスト(日本語検定1級相当)を実施し、成績により語彙力高・低群に分類した。その後同じ学習者にオンデマンド授業を受講させ、授業前後のテスト成績変化を比較した。その結果、語彙成績高群のほうがオンデマンド授業後のテスト成績が有意に高く、学習者の語彙力がオンデマンド授業の学習効率に影響を与える可能性を示唆した。本研究結果は国際学会CELDA2021にて発表した。このテーマにについては、今後視線計測を導入し、オンデマンド授業の学習効率を上げる要因をさらに検討する予定である。 【環境要因が学習に及ぼす影響の検討】 学習を効率よく進めるためには、注意・記憶などの認知機能が関わってくる。注意や記憶などを阻害する要因が増えることで、学習中の「つまずき」を増加させる可能性がある。 本研究では、学習教材だけでなく、学習環境が認知機能を阻害する可能性を考え、検討した。環境要因の中でも視覚(色)や嗅覚刺激、およびこれらの組み合わせが、学習に関する認知機能にどのような影響を及ぼすか検討中である。2021年度には被験者の行動成績や課題遂行中の脳波計測を行った。現在、これらの実験で得られた結果を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた「対面授業での効果検討」などはコロナ禍のため実施できない。そのため、2020年度より、オンデマンド授業でのつまずき要因推定を目指して計画変更している。2021年度ではいくつかの予備検討を行い、2022年度に向けた準備を加速させることができた。この調子でさらに検討を進め、成果報告につなげていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
【語彙力と新規知識獲得の関係】 2021年度ではオンデマンド授業資料等を用いて、オンラインでの学習ログ・行動成績のみ取得し検討した。2022年度では、このときの結果を踏まえてさらに授業資料・成績取得方法に改良を加えて検討する。また、学習者の視線計測を追加し、学習者の「つまずき」要因を行動・生理応答両方の側面から明らかにしていく。さらに本研究から派生したテーマでの新たな共同研究計画を立案中である。この共同研究計画に対し本報告内での詳細な内容記述は控えるが、遠隔授業における様々な授業形態について、脳波をはじめとする生理指標で検討する予定である。
【環境要因が学習に及ぼす影響の検討】 2021年度に得られた結果の解析を行い、成果発表を目指す。現在得られた結果の一部について、論文投稿準備中である。ただし、成果発表に必要だと判断された場合は、さらに実験を追加する可能性もある。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表を行ったものの、全ての学会がオンライン実施となったため、旅費の使用が発生しなかった。そのため旅費として計上していた金額を全て使用せず、次年度使用額が発生した。
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