研究課題/領域番号 |
19K14323
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
杉浦 真由美 北海道大学, 高等教育推進機構, 助教 (10829899)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 初年次教育 / フィードバック / オンライン授業 / 動機づけ / 課題 / リフレクション |
研究実績の概要 |
オンライン授業におけるレポート課題でよりよい文章を書くためには、他者からの修正点の指摘や内容に関するコメントのフィードバックが有効であることが示されている(杉浦ほか 2018)。そこで、2020年度は、オンライン授業におけるフィードバックコメントが課題の取り組みとリフレクション、学習の動機づけに及ぼす影響について検討した。事後課題は、全15回のうち、第2回-第10回で実施した。また毎回の授業で、気づいたこと、自己評価、今後の学習計画の3つの観点から振り返る活動を取り入れた。 課題に対するフィードバックでは、多くの学生に共通するコメントはよかった点、おしかった点、改善が必要な点についてコメントを文書にまとめ、全体に向けてMoodleに掲載した。一方、具体的な学習改善を促したいとき、全体的な傾向とは異なる修正点を伝えたい場合には、個別にフィードバックを与えた。 こうしたフィードバックが課題の取り組みやリフレクション、学習の動機づけに及ぼす影響について調査を行った結果、全体フィードバックは「課題」「リフレクション」および「興味」に有意な影響を及ぼしていた。課題について振り返り、学習の改善を図ることは学習主題の理解を深めるために重要である。また、フィードバックによりクラス全体の課題の出来栄えを知ることは、学生の興味を喚起する要因の一つになると考えられる。一方、個別フィードバックは「リフレクション」と「満足度」に有意な影響を及ぼしていた。本授業における個別フィードバックは、全体的な傾向とは異なる修正点がある学生に対してコメントを提示していた。当然のことながら、全体フィードバックに比べて改善すべき点が明確にわかり効果的な振り返りにつながる。それゆえ、教員からの個別フィードバックは、学生の満足感につながったであろう。今後はフィードバックと学習成果との関連についてさらなる検証を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、医学生を対象とした初年次教育において主体的・能動的な学びを促進するために反転授業を設計し、学び合い教え合うワークを中心として実施する予定であった。こうした中、令和2年度(2年目)は新型ウイルスの感染拡大防止の観点から、授業はすべてオンラインで実施することになった。そのため、当初計画していた授業方法からオンラインに転換し、研究実践に取り組んでいる。 従来の研究計画から授業やワークの方法などを変更したため、令和元年度(1年目)と令和2年度(2年目)における授業設計と学習成果に関して比較検討には至っていない。一方で、医学生を対象とした初年次教育プログラムはオンライン形式においても実施可能であり、フィードバックを取り入れたことによる効果を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度(1年目)と令和2年度(2年目)における授業実践について、横断的な分析・評価に至っていない。一方で、授業形態を変更したことに加えて、コロナ禍という社会的状況と学習成果との関連については、留意しながら検討する必要がある。 本研究では自己調整学習を授業デザインに統合し、医療系大学生の学ぶスキルを育成することを目的としている。令和3年度(3年目)では、習得したスキル(学習方略、ライティング、コミュニケーションなど)を他科目や日常に架橋して活用しているか検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:令和2年度(2年目)は、国内学会はオンラインで参加したこと、また国際学会の発表を中止したため次年度使用額が生じた。
次年度における未使用額の使用内容:国際学会での発表、ならびに、オンライン授業を実施するための環境整備を令和3年度(3年目)に行うこととし、未使用額はその経費に充てることにする。
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