2021年度は,所属機関が数理・データサイエンス・AI教育プログラムのリテラシーレベルプラスの選定校となったことから,数理・AI・データサイエンススキルの醸成に着目して、多様な背景を持つ全ての学生を対象とした学修支援の実施について取り組んだ. データサイエンス科目の開講に向けたプログラミングの学習環境として、教育用ロボットを都市模型に配置して、ロボット動作でプログラムを模型上に可視化するなど,サイバー空間とフィジカル空間を連携することで,プログラミングに馴染のない学生でも意欲的に取り組めるような授業設計を行った. また,既存のプログラミングに関する授業でも、上級年次学生が下級年次学生対象の授業を設計するといった異学年間での学びの共有を実践した.上級年次学生は学習目標やコマ数の考慮など授業運営に関わる過程で学びの可視化や振り返り,自らのスキルの醸成を行うことができ、下級年次学生は高い満足度で授業を受けることができた. 2019年からの研究では、発話・テキスト変換システムの構築によって,講義室において聴講者が聞き取りやすく理解しやすい発話の基礎的知見を得ることができた。また、クラウドアプリケーションを活用して,学生が互いに実験者や被験者となる同僚間アンケート調査の実施や電子ボード上での討議により,討議の活性化を図れることを明らかにしてきた。 このように,サイバー空間の活用によりフィジカル空間での課題解決を目指した学修支援に加え,サイバー空間に重きが置かれがちなデータ分析やプログラミング学習などにおいて,ロボットや都市模型,異学年の学生との関わりなどフィジカル空間からのアプローチを取り入れた学修支援も行うことは,多様な学生への学修支援として大きな意義があると考える.
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