研究課題/領域番号 |
19K14329
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中村 駿 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (60804507)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リフレクション / 学校ボランティア / 省察の支援 / 経験学習 / 学習プロセス |
研究実績の概要 |
本研究は、小学校ボランティアにおける大学生の学習プロセスを実証的に分析し、リフレクションの手法を開発することが目的である。具体的には、(1)小学校ボランティアの活動記録の収集、(2)リフレクション研究のレビュー、(3)活動における学生の学習プロセスの分析、(4)リフレクション手法の開発、の4つを課題としている。今年度は、特に(1)と(2)の課題を中心に取り組んだ。 (1)の課題に関して、小学校でボランティア活動をしている大学生14名を対象としてデータ収集を実施した。具体的には、1日の活動内容や振り返りを記入するリフレクションシート(計30回)、担当学年が同じ学生同士で1日の活動や課題を検討する反省会の音声記録(計30回)を1年間収集した。リフレクションシートはテキストデータとしてすべて整理し、反省会の音声記録は前期分(15回)の文字起こしが完了した。これらのデータからボランティア活動において学生が直面する問題やその解決策について情報を得た。今後は引き続き音声記録の文字起こしを進めながら、グラウンデッド・セオリーアプローチを用いて学生の学びの様相を実証的に明らかにしていきたい。 (2)の課題では、リフレクション研究に関する国内外の著書および論文を収集し、文献レビューを実施した。そのレビューより、多様なリフレクションの手法が開発されている一方で、その評価方法が一貫していないこと、ショーンのリフレクション概念とは異なる研究も多く見られることが明らかとなった。これらの研究の一部は、国際会議や国際シンポジウムにおいて発表し、ショーンのリフレクション概念の可能性や今後の展望を概説したものは学術雑誌に掲載することができた。今後はリフレクションの手法を体系的に整理していき、手法の開発に向けた示唆を得たいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に計画していた研究活動は、ボランティア活動のデータ収集とリフレクション研究のレビューを進めることであった。今年度は1年間における学生14名のリフレクションシートや反省会を記録することができた。また、リフレクションシートはテキストデータとして保存し、反省会の音声記録は文字起こしを完了し、データとして整理することができた。以上を考えると、次年度の分析に向けて概ね順調に進展していると思われる。 リフレクション研究のレビューにおいても、国内外の主要な学術雑誌および著書の文献収集を完了し、ショーンのリフレクション概念やリフレクションの手法に関する情報を得ることができた。また、そこで得た知識に基づき、その成果の一部を国際会議や国際シンポジウムにおいて発表できたことや、レビューとして学術雑誌に掲載されたことを鑑みると、概ね課題を達成していると考えることができる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度はコロナウィルス拡大の影響で、研究協力校のボランティア活動がすべて中止となり、データ収集が不可能となった。そのため、次年度はデータ収集以外の課題を重点的に進めていく必要がある。具体的には、2019年度に収集した活動記録の分析を中心に進めていき、リフレクション手法のレビュー、リフレクション手法の開発を並行して取り組んでいくことにしたい。中止となった活動の分は、当初予定していなかった2021年度にボランティア活動のデータを収集し、これまでの分析結果と統合するなど、柔軟に対応していきたい。
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