研究課題/領域番号 |
19K14329
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
中村 駿 武蔵野大学, 教育学部, 講師 (60804507)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大学生の学び / 学校ボランティア / リフレクションの支援 / リフレクションの手法 / リフレクションの深さ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、学校ボランティア活動における大学生のリフレクションの様相を明らかにし、その結果に基づきリフレクションの手法を開発することが目的である。具体的には、(1)小学校ボランティアの活動記録の収集、(2)リフレクション研究のレビュー、(3)活動における学生の学習プロセスの分析、(4)リフレクション手法の試案、の4つを課題としている。今年度は(1)から(3)までの研究課題に取り組んだ。 (1)に関しては、COVID-19の感染拡大の影響により、引き続き小学校ボランティア活動が中止となった。そのため、これまでに収集したデータを利用し、研究を進めることとした。(2)に関しては、教師教育におけるリフレクションをキーワードとして、研究動向の調査や理論と実践の関係に関する考察を行った。その成果は、書籍やシンポジウムにおいて報告し、リフレクション研究を事例とした実践研究や理論の意義について議論を深めた。(3)に関して、これまで収集した学生の振り返りを分析した。具体的には、学生の振り返り記録から「学びの内容」と「省察の深さ」という2つの観点で分類した。その結果、学びの内容には多様性が見られた方で、学生によって内容に偏りがあることも課題として示唆された。また、省察レベルに関しても、学生によっては低いレベルの状態が維持されてしまうケースもあり、支援の必要性が示唆された。これらの要因は、学生の個人的要因も1つであるが、ボランティアの環境要因(学校の実態、教師との関係)もあることが考えられた。この成果は、学会発表にて報告を実施し、大学教育およびリフレクションの専門家からフィードバックを得た。今回の分析範囲は半年分のデータであったため、今後は通年のデータに分析を拡張するとともに、分析方法を演繹的なコーディング以外にも、帰納的に分析を進めることにより、学びの促進要因や阻害要因を解明したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に計画していた研究活動は、ボランティア活動のデータ収集および分析、リフレクション研究のレビューに基づく成果報告であった。今年度は、COVID-19の感染拡大の影響により、学校ボランティア活動が中止となり、データ収集が実施できなかったが、過去のデータを分析することで成果発表を実施できた。また、リフレクション研究のレビューを基に、研究報告を実施することもできた。以上より、研究計画はおおむね順調に進展しているが、今後はリフレクション支援方法の試案まで取り組む点で課題が残された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ボランティア活動の振り返り記録の分析から得られた結果を基に、大学生の学びを保証するための方法を考案したい。そのためには、分析をさらに精緻化するとともに、その分析結果に対して適切な支援手法を提案するためのリフレクション研究の文献レビューを引き続き行うこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の感染拡大の影響により、小学校でのボランティア活動が中止となり、データ収集が不可能となった。こうしたデータ不足により、音声データの文字起 こしを依頼する必要がなくなり、人件費を使用することができなかった。また、学会に関しても、国内外で研究成果を発表することを当初予定していたが、上記と同様の理由で、中止あるいはオンライン開催となり、旅費を使用することができなかった。
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