本研究の目的は、学校ボランティア活動における大学生のリフレクションの様相を明らかにし、その結果に基づきリフレクションの手法を開発することが目的である。具体的には、(1)小学校ボランティアの活動記録の収集、(2)リフレクション研究のレビュー、(3)活動における学生の学習プロセスの分析、(4)リフレクション手法の試案、の4つを課題としている。今年度は(3)と(4)の研究課題に取り組んだ。 (3)に関しては、これまで収集した学生のリフレクティブジャーナルを分析した。具体的には、昨年度のLeeのリフレクションレベルの枠組みに基づく記述内容の分析をさらに精緻化し、学生によるリフレクションの深さの違いとその要因について検討した。結果として、省察の対象や深さには学生の個人差が見られ、深い省察は1学期分の活動では容易でないことが示された。また、省察の対象が多側面で深いレベルの省察が生じた学生の特徴として、出来事に直面した際に、児童の実態や発言に着目しながら問題同定や働きかけをしていることが示された。さらに、省察には個人差が見られ、学生の中には省察の対象や深さが限定的となる場合もあり、支援の必要性が示唆された。(4)に関しては、昨年度の(2)の成果や(3)の分析結果を通して、これまでのリフレクション手法の課題を補うためのインプリケーションを得た。研究期間終了後は得られた内容を発展させ、新たなリフレクション手法を実践し、その評価をしたい。 今年度は、成果をまとめるための補助延長期間という位置付けであり、論文として成果を学会誌に投稿したり、昨年度の講演を学会誌に掲載されたりはしたが(印刷中)、新たな内容について学会発表等は実施しなかった(昨年度にすべての研究課題を報告済みであるため)。
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