2021年度に、新型コロナウィルス感染症対策のため、教育実習関連科目における模擬授業とその観察をZoomで行ったが、今後は非対面型の学習を設計・運用する経験や、それを前提としたチーム型授業研究を行う必要性を感したため、オンライン模擬授業におけるチーム型授業研究を企画し、有志の学生の協力を得て試行した。2022年度は、このときに明らかになったことを整理して、学会において専門家と意見交換を行った。 その際、報告したことは次の内容である。観察対象となる授業もしくは模擬授業を設計する際に、学習者一人ひとりの思考を可視化するしくみ(例えばICTを用いて一人ひとりが考えを表現・共有できるようにするなど)を採用することによって、その授業もしくは模擬授業がオンラインで実施されたとしても、観察者も学習者の思考過程に注意を払いながら観察チームで協議を行うことが可能である、ということである。 これまでの報告も含め、その他の専門家からは、本研究で提案する授業研究の方法に対して、適応可能な教科や題材等が限られるのではないかという指摘がなされた。このことから、今後の課題として、本研究が目指す授業研究を含め、それ以外の多様な授業研究の方法を、教科や授業方法、授業研究の目的等に着目しながら整理し、本研究の位置づけを改めて行いたい。
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