1【生態調査】令和2年度からの継続研究で、連携中の都市公園内に自動撮影カメラを設置し、都市ギツネの生態および餌付けの実態を観察・調査した。令和3年秋頃から、それまでは生息が確認されていなかった特定外来種アライグマが観察されるようになり、さらにキツネの餌付け場所にアライグマが餌付くようになったため、キツネとの競合の様子を含めた研究内容へと拡大する必要が生じた。 2【ベイト散布開始】令和3年7月より、コロナの影響で頓挫していたエキノコックス駆虫薬入りベイトの散布を、上記の都市公園にて開始した。月に一度の散布を継続中である。また、12月までの時点では、園内で回収したキツネの糞からエキノコックスは検出されなかった。今後の経過観察が必要である。 3【ワークショップとアンケート調査】上記都市公園のお祭りのなかで、園内に生息するキツネの観察ツアーとワークショップを開催した。7月に散布し始めたベイトへの理解を促進するために、参加者に実際にベイトを撒いてもらった。また、お祭り参加者に、キツネとの共生と餌付けへの意識を問うアンケート調査を行ない、結果について野生生物と社会学会で発表した。 4【サイエンスカフェ】令和2年度に引き続き、上記都市公園との協働で、札幌市の都市ギツネの生態と適切な接し方について理解を深め、疑問を解消するためのサイエンスカフェを開催した。トランクキットコンテンツとして令和2年度末に制作した教材絵本と動画を活用した。コロナ対策のため一般参加の定員を20名とし、行政関係者と関連研究者らも参加し、大変好評を得た。市民の大きな関心事であるエキノコックスの問題を中心に、さらに上記1の調査で明らかとなった餌付けが外来種アライグマの定着にも寄与しうる危険性に言及した。
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