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2019 年度 実施状況報告書

授業における科学のスキルと内容理解の統合的育成実態を評価するテストの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K14340
研究機関東京大学

研究代表者

齊藤 萌木  東京大学, 高大接続研究開発センター, 特任助教 (60584323)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード形成的評価 / 21世紀型スキル / 指導と評価の一体化 / 新世代全米科学教育スタンダード / アクティブ・ラーニング
研究実績の概要

本研究では,児童生徒の科学のスキルと内容理解の統合的な活用力を評価し,教師が授業改善に資する知見を得るためのテストを開発する.「テストが備えるべき条件」に関する欧米の理論研究と,日本の実践研究の成果として提案されてきた「テストの具体例」を結びつけ, 1)単元単位で目指す力の育成実態を見とる評価問題と 2)教師へのフィードバックシートからなる「テスト」を開発して活用事例と共に提案し,質の高い科学教育の実現に貢献することを目的とする.
令和元年度は,科学のスキルを評価する日本の既存テストを受験者の視点から検討することで問題開発のポイントを明らかにし,「運動とエネルギー」の単元における評価問題と「教師用フィードバックシート」の主要な構成要素となる「評価指標」のセットを開発し,教室での試行に向けて学校外の科学教室において試用した.
既存テストの検討では,作問者の意図にかかわらず解答者によって問題の意味理解にかなり差が生じること,解答に事例に関する知識や他のスキルなど多様な要因が不可避に影響することが明らかになった.そこで,解答に活用する知識やスキルの統合的な全体像を想定し,問題と評価指標の妥当性検証を十分行うことに焦点化して開発を行った.その結果,開発した問題と「指標」セットの試用では生徒の解答と解答過程での発話について,評価者間で合意を持った妥当な評価が可能な手応えをつかむことができた.同時に,評価指標については机上での検討で精度の高いものを開発することは難しく,試用をとおした検討が重要であるという課題も見出された.
今後は,1)試行と専門家コメントに基づく「評価問題」の実効性を検証すること,2)実践協力者と連携して授業改善に対する「フィードバックシート」の実効性を検証することに取り組む.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和元年度は,科学のスキルを評価する日本の既存テストを受験者の視点から検討することで問題開発のポイントを明らかにし,「運動とエネルギー」の単元における評価問題と「教師用フィードバックシート」の一部を構成する「評価指標」のセットを開発し,更に教室での試行に向けて学校外の科学教室において試用することができた.当初の予定では,「評価問題」と「教師用フィードバックシート」案の開発までの計画であったため,研究は想定以上のスピードで進んだと言える.
他方,令和2年度2月の試用時に収集したデータ整理、次年度の試行に向けての準備等が感染症拡大対策の影響で予定どおり進んでいない.

今後の研究の推進方策

令和2年度は,実践者の協力を得て「評価問題」を各教室で試行し,目指す力の育成を的確に評価できるかを検証し,専門家からもコメントを得る予定である.ただし,教室での試行は,新型コロナウイルス感染症対策の状況も踏まえて,慎重に実施時期を判断しながら行う必要がある.スケジュールが遅れた場合の対策として,令和元年度に学校外の科学教室で行った試用で得たデータの整理・分析・検討を進めること,欧米の理論研究の資料検討をより重点化することで,評価問題の妥当性検証に資する知見を得て,評価問題の修正・改善につなげる予定である.それにより,令和3年度に,評価問題を教室現場において活用しながら,授業改善に対する「フィードバックシート」の実効性検証を進めることが可能になると考えられる.

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は,日程の都合上実践協力者会議の旅費が予定より少なくて済んだことに加え,令和2年度2月の試用時に収集したデータ整理,次年度の試行に向けての準備等が感染症拡大対策の影響で予定どおり進んでいないためである.次年度使用額は,データの整理を令和2年度に行うと共に,令和2年度の評価問題の教室現場における試行スケジュールが感染症拡大の影響により遅れる場合に別の方法で評価問題の妥当性検証を行うための資料追加収集に使用する計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] Exploration of Scaffolding in Teachers’ Dialogue Analysis.2019

    • 著者名/発表者名
      Saito, M., Iikubo, S., & Shirouzu, H.
    • 学会等名
      13th International Conference on Computer Supported Collaborative Learning (CSCL) 2019
    • 国際学会
  • [図書] 『「質問」の理論と実践第6章 学習で生まれる問い、学習を進める問い―協調問題解決をとおした問いの創発―』2020

    • 著者名/発表者名
      齊藤萌木
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      ひつじ書房

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公開日: 2021-01-27  

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