研究課題/領域番号 |
19K14341
|
研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
成田 慎之介 東京学芸大学, 教育学研究科, 講師 (00804064)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 数学的な見方・考え方 / 創造的な学習指導 / 問いの役割と構造 |
研究実績の概要 |
小中学校では,数学的な見方・考え方を育成する教材の蓄積が,雑誌や論文等においてなされてきている。一方で,高校数学においては,小中学校と比較すると著しく少ない。また,開発された教材でも,具体的な授業を想定した教科書紙面案を作成するまでには至っていない。そこで本研究では,高校数学において,数学的な見方・考え方を育成するための教材を開発し,その有効性を検証するとともに,教科書紙面化のための枠組みを開発し,記述案を作成することを目的としている。そのために,1年目では以下のことに取り組んだ。 1点目は,数学的な見方・考え方を育成するうえで,創造的な学習指導という点に着目し,関数領域における教材の開発,学習指導の提案とその有効性を検証した。具体的には,微分積分学の基本定理を生徒自ら創出することを志向した一連の教材を開発し,論文としてまとめた。また,極限の理解の困難性について,先行研究で指摘されていることを克服するために,生徒が極限の知識を創りあげていく学習指導を提案し,その有効性を検証した。それを学会で発表し,論文としてまとめた。 2点目は,数学的な見方・考え方を育成するための教科書紙面構成の理論的枠組みを開発するために,『数学 第一類』,『数学 第二類』という戦時中に使用されていた中学校数学科の教科書を分析した。具体的には,関数と方程式に関わる内容において扱われている「公式」の扱い方に焦点をあてて,そこでの問いの系列に埋め込まれている数学的な見方・考え方を顕在化させるための分析を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教材開発とその検証については,学会発表および論文にまとめており,順調に進んでいる。一方で,『数学 第一類』,『数学 第二類』の分析が遅れている。2年目は,そちらに重点をおき研究を進めていく。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目は,以下の3点を中心に取り組んでいく。1点目は,数学的な見方・考え方を育成するための図形領域における教材を開発し,実践を通してその検証を行うことである。2点目は,数学的な見方・考え方を育成するための教科書紙面構成の理論的枠組みを開発することである。そのために,『数学 第一類』『数学 第二類』の問いの系列を引き続き分析する。3点目は,開発した教科書紙面構成の理論的枠組みと図形領域の教材を基に,教科書紙面案を作成することである。2年目は,特に2点目を重点的に行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は,『数学 第一類』,『数学 第二類』の分析を十分に進めることができなかったため,史料等の整理のための人件費を次年度に繰り越すことにする。次年度は,『数学 第一類』『数学 第二類』の分析を中心に研究を進めていく。
|