研究課題/領域番号 |
19K14344
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
野添 生 宮崎大学, 教育学部, 教授 (20751952)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 理科カリキュラム / 統合化 / 科学の本質(NOS) / 科学技術が関連する社会的諸問題(SSI) |
研究実績の概要 |
本研究は、育成する児童・生徒像を、これまで相克の関係にあった「専門家育成」と「市民育成」を越えて、「専門家」を包摂した「未来を拓く次世代育成」と定義した上で、物理・化学・生物・地学の専門分化した既存の科目を「つなぐ」という視座から再考し、未来を拓く次世代育成のための理科カリキュラムを理論的・実証的にデザインしていくことを目的としている。本年度は、昨年度に引き続き、実践的アプローチとして試行的授業実践、比較教育的アプローチとして欧州のEU PARRISEプロジェクトで開発されたsocio-scientific inquiry-based learning(以下,SSIBLと略記)に関する文献調査、理論的アプローチとして「科学の本質(Nature of Science: NOS)」「科学技術が関連する社会的諸問題(Socio-scientific Issues: SSI)」に関する文献調査・分析を相補的に行った。 その結果、SSIBLモデルは①市民教育、②Socio-scientific Issues、③探究を基盤とした科学教育(inquiry-based science education: IBSE)の三つの柱で構成されており、加えて、3つのステージ(「Ask」「Find out」「Act」)の往還を可能とするものであることが明らかとなった。また、国内の高等学校で試行的実践及び事前事後調査の分析を行った結果、SSIの実装化に向けた理科教授方略として可能性があることが明らかとなった。 この研究成果の一部は国内の学会発表はもとより、世界的に評価の高い国際学術誌International Journal of Science Educationにも掲載され、国内外の学術界にも広く発信することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究に関わる課題や成果は国内の学会発表だけでなく、世界的に評価の高い国際学術誌にも掲載されており、研究成果の発信には力を注いでいるが、研究全体そのものはCOVID-19感染拡大防止措置に伴い、国内外の調査研究にかかる移動が制限され、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究計画に従い、実践的アプローチとして授業実践データの整理・分析、比較教育的アプローチとして諸外国(主としてイングランド)の科学カリキュ ラムの文献調査・分析、理論的アプローチとして「SSI」や「NOS」の分析を、引き続き相補的に推進していく。得られた研究成果は、今年度同様、国内外の学術界や科学技術・社会に向けて、積極的に広く発信していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)調査旅費として計上した予算が、COVID-19感染拡大防止措置の移動制限のために使用できなかったことによる。 (使用計画)次年度において、調査旅費に係る費用の一部に補填する予定である。
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