本研究は、日本の高等教育機関への進学を希望するミャンマー人留学生に対する数学の教科指導に関する研究である。ミャンマーの高等学校におけるカリキュラム、教科書の学習内容や学習方法を調査することで、日本との違いを明らかにすること、さらに得られた研究成果をもとに、学習指導計画として具体化し提案することを目指した。 2021年度は、これまでに得られた研究成果や知見をもとにミャンマー人留学生用の学習指導計画を作成した。 具体的には、日本の大学へ入学する前々年度に来日し、翌年に日本留学試験を受験する予定の日本語教育機関に在籍するミャンマー人留学生を対象とした学習指導計画を作成した。作成にあたっては、関数領域を中心に指導計画を立て、(1)ミャンマー人留学生の学習履歴 (2)教員が指導する際の注意点も取り入れた。また、ミャンマー人留学生の学習履歴や日本語の習得状況、日本留学試験までの学習スケジュールに配慮し、ミャンマー人留学生がスムーズに数学の学習を進められるように教科書の学習順序を適宜入れ換えて作成した。 2021年度は、2020年度に実施できなかったミャンマーでの現地調査を行う予定であった。しかし、2020年度から続く新型コロナウィルス感染症の流行による国外移動の制限、さらにはミャンマーの政治体制の急激な変化により、現地調査の実施は見送らざるを得なかった。代替措置として、現地調査会社に調査の代行を依頼したが、新型コロナウィルス感染症の流行とミャンマーの政治状況を理由に断られた。 そのため、当初の予定とは異なり、作成した学習指導計画にミャンマーの高等学校における指導方法や授業方法の情報を組み入れることはできなかった。
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