研究課題
医学部生が主体となり術前計画を立案する教育方略は、国内外に例のない試みである。本教育方略の有効性を検証する本研究において、2019年度、2020年度に引き続き、臨床実習中の医学部5年生を対象として本教育方略を実施した。2020年度にコロナ禍により医学生の臨床実習が制限されたことで、本教育方略も従来の実臨床における症例を用いる方式から、模擬症例を用いてオンライン上でも症例検討が可能な方式へ教育方略を修正し、コロナ禍下でも本教育方略を提供し、これに伴う医学生の意識の変容をアンケート方式にて評価した。その結果、コロナ禍でオンライン教育体制に移行しても本教育方略は従来通り実施されることが実証された。また本教育方略を履修した医学生は画像診断や合併症リスク評価など、治療計画の策定に関る内容に関する興味が有意に増加することが判明した。一方で術式・手技など、従来医学生が興味を示した内容は、実習を通じ興味が有意に低下することも判明し、今後の検討課題と思われた。本検討結果は第120回・第121回日本外科学会定期学術集会(2020年8月、2021年4月)、および2020年4月開催の外科教育研究会で発表し、日本外科学会雑誌には本研究に関連した2編の論文が採択された。(日本外科学会雑誌 2020;121(6), 656-658、日本外科学会雑誌 2021;122(5), 581-583)上記の如く、本教育方略のコンセプトについては一定の認知、実施に関する知見を得たが、本教育方略が他医学教育施設でも広く安定して実施可能とするには以下の課題が残された。①コロナ禍のなかでオンライン実施に対応した資料セット整備の必要性②フィードバックを行うための適切・汎用性のある評価ツールの作成③教育効果を客観的に評価するための、医学生を対象とした介入試験…これらの課題に対し、今後も本研究を継続予定である。
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日本外科学会雑誌
巻: 122 ページ: 581-583