研究課題/領域番号 |
19K14350
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
江田 慧子 関西学院大学, 教育学部, 助教 (90648461)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | オオルリシジミ / 子ども図鑑 / 疑似標本作成キット / モニタリング / ルリシジミ |
研究実績の概要 |
2021年度も引き続き新型コロナウイルスの関係で5・6月のオオルリシジミの発生時期に兵庫県から他県へ移動することが困難であり、また子どもたちを集客しての学習会や観察イベントをすることができない状況であった。そこで教材開発をメインとして行った。 1.新たな環境教育教材の開発 1)擬似標本作成キット(児童対象):2020年度に作成した疑似標本作成教材をキット化し、子どもたちが実践できるように大量生産した。キットには標本箱、プラ板、虫ピン代わりのTピン、中敷き、ボンド、オオルリシジミのパンフレット、取扱説明書を同封した。また授業の効果を評価するため教材を実施する際の子ども用の事前事後アンケートと同伴している大人用の事後アンケートを作成した。 2)子ども図鑑(幼児・児童対象):2020年度に試作した子ども図鑑をバッグとともにセットにして実際のオオルリシジミ観察会で使用するため大量生産した。作成した子ども図鑑セットには図鑑、虫メガネ、定規、チョウの実物大キーホルダーを、首からぶら下げられるように紐をつけたB6ビニールケースにすべて収納できるようにした。また図鑑の効果を評価するため疑似標本作成キットと同様にアンケートを作成した。 2.子供のための調査手法の開発 1)オオルリシジミとルリシジミの区別:オオルリシジミと同時期に出現するルリシジミは生態の形態が酷似しているため,区別しやすいように比較写真を多く使って区別点を発見し、2021年に児童にも分かりやすい解説書を作成した. 2)児童向けのモニタリング手法の開発:オオルリシジミの日周活動から,最も多くのチョウの個体数を反映する地点と時間帯を算出して,子どもでも正確に実践できる手法を開発する必要がある.そこで成虫の活動調査を行った後,子どもたちを含めた成虫の調査観察会を実施してモニタリング手法開発のデータを集めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年も新型コロナウイルスの影響で現地での子どもたちを集めたイベントは実施できなかったが,教材の開発・製作はほぼ完了してあとは実際の授業に使って効果の検証を待つまでに準備できた.また長野県の研究協力者によりモニタリング手法やクララ植栽プログラム作成に必要なデータを集積することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は移動が緩和されることが予想されるため、現地での教育イベントを主催、または参加し、子どもたちへ教材を使用した観察会を実施していく。また最終年度のためデータをまとめ、論文化を目指していく。 1)擬似標本作成キットの実施と改良:作成した教材キットを実際に子どもたちへ実践させる。効果を評価するために、子どもたちへアンケートを実施する。また同伴している保護者、または教員へもアンケートを行う。アンケートを分析してキットの改良を行い、最終的にキットを完成させる。 2)子ども図鑑の実施と改良:作成した子ども図鑑セットを使って子どもにオオルリシジミの観察を行ってもらう。効果を評価するために、子どもへアンケートを実施する。また同伴している保護者、または教員へもアンケートを行う。アンケートを分析してキットの改良を行い、最終的に図鑑セットを完成させる。 3)チョウビンゴの教材作成:オオルリシジミと共に生息しているチョウの名前を子どもが楽しく覚えるビンゴカード教材を作成し、実施する。チョウの種名を覚えることができると同時にオオルリシジミと比較して、オオルリシジミの特徴をより明確に理解することができる。 4)パネルシアター(幼児対象)の作成:オオルリシジミの生態について物語形式で説明できるオリジナルシアターを完成させる。パネルシアターにはオオルリシジミの卵、幼虫、蛹、成虫の他に共に生息している蜂や蟻、あか牛などの登場させる予定である。 上記の教材作成とその実践として、論文化してデータをまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの関係で調査や出張を行うことができなかったため、そのための費用に余剰が生じた。調査には行かず教材を開発したが、教育現場で使用できるか検討することができなかったため消耗品の金額も低かった。 <使用支出計画> 2022年度は教材を作成するための物品費と、教育現場で実践するための旅費に使用することを計画している。また論文を作成、投稿するための費用を使用していくことを考えている。
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