2022年度も引き続き新型コロナウイルスの関係で5-6月のオオルリシジミの発生時期に長野県へ頻繁に移動することが困難であったが、成虫の発生調査と子ども向けの教材の作成と実施を行うことができた。 成虫の調査:長野県安曇野市において2022年は成虫の発生が激減してしまった。1回の調査で1~5頭しか発見することができなかった。1日の定点調査でも10頭しか見つからず、子どもへ十分な観察を行わせることができなかった。絶滅危惧種は発生に年次変動があることから成虫が見られなくても同等な学びをさせられることが重要である。 教材の開発と実践: 1)擬似標本作成キット(児童対象):2021年度に作成したキットの効果検証を2回実施することができた。1回目は国営アルプスあづみの公園で2022年5月5日に事前申込制にて集まった子ども13名(保護者16名)に実施して、アンケートに答えてもらうことができた。2回目は2022年10月27日に長野県安曇野市内の小学校第3学年55名を対象に実施することができた。 2)子ども図鑑(幼児・児童対象):2021年度に作成した子ども図鑑の効果検証を長野県安曇野市で6回、熊本県内の小学校で1回実施することができた。安曇野市ではすべて事前申込制で行い、5月中旬から6月初旬にかけて計子ども40名、保護者39名に実施できた。さらに熊本県内の小学校第3学年40名を対象に、また小学校教員や保護に携わる人計7名に実施できた。 3)チョウビンゴの教材の開発:オオルリシジミと共に生息しているチョウの名前を子どもが楽しく覚えるビンゴカード教材を作成することができた。チョウの種名を覚えることができると同時にオオルリシジミと比較して、オオルリシジミの特徴をより明確に理解することができる。本研究ではビンゴカードの真ん中をオオルリシジミにしたが、他のチョウにすることによって、他地域でも汎用することができると考えられた。
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