研究課題/領域番号 |
19K14351
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
小川 勝史 大阪電気通信大学, 工学部, 講師 (70826528)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | IoT / 教育工学 / Society5.0 / ロボット教材 / センサネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究では,SILS(Sensor based IoT Learning System)による実践的ICT教育手法の確立を目指して,学習時の学生の身体的・心理的メカニズムを明らかにする.それらを基にして,IoTを含むICTの利活用をスムーズに学ぶことのできる環境構築とカリキュラム案を策定する. 当該年度の計画として,次の3つの項目を予定していた.①IoTデバイス及びローカルサーバ計測システムの開発,②高等学校における情報教育および,他の科目での授業実践による学習効果の検証,③大学におけるIoTを含むICT実践的実習への活用と学習効果の検証,である. ①については,概ね授業での検証が実施できる教材システムを開発することができた.教育現場での実践を鑑みて,入手性・汎用性が高いマイコンボードである,Arduino及び,Raspberry Piを使用した.また,その教材を用いた効果的な教授手法であるISEM(IoT System based Educational Method)の開発を行った.これは以前からシステム構築を行う際に知識と実際の機器との相関が一致しないという問題の解決を目指し,階層化したIoT計測システムモデルに基づいた教育手法である. ②については,高等学校で実際に,開発教材と教育手法ISEMによる授業実践を行い生徒からの高い関心を得ることが確認できた.2019年9月~2020年2月までの期間で工業高校2年生に週4単位の実習授業で,各種サーバ,データベースの構築とセンサ入力データ処理に関するプログラミングを広く学習した.それらを基にグループワークによって,学校生活での不便をIoTシステムで改善するという課題で,クラス全体の積極的な姿勢が確認できた. ③については,教材用デバイスの開発は行ったが実践・検証は実施できなかったので,次年度に実施予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の計画として,①IoTデバイス及びローカルサーバ計測システムの開発,②高校における情報教育および,他の科目での授業実践による学習効果の検証,③大学におけるIoTを含むICT実践的実習への活用と学習効果の検証,を予定していた. ①,②の教材開発と効果的な教育手法に関する開発は概ね計画通りに進行しており,高等学校における教材と教育手法に関する実践・検証を行うことはできた.しかし,③の大学における検証に関しては,実施スケジュールが合わなかったため実施できていないのが実状である.コロナ禍の昨今,他の大学や学部との連携を行いながらの授業実践となるため,実施については細心の注意を払う必要があるが,健康面での対策とスケジュール調整を綿密に行い実現に向けて前向きに進めていきたい.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として,前年度実施できなかった大学におけるSILSを用いた学修効果の検証を行い,また,学習者の身体的・心理的メカニズムの解析手法を確立して,学習時のSILSの学生へ及ぼす身体的・心理的メカニズムを認知科学と学習科学の観点から解析する. 具体的な検証内容として,情報教育における学習効果の身体的・心理的メカニズムの評価を行う.情報教育においてSILSを用いた授業実践を通して,「プログラミング制作」,「情報コンテンツのデザイン」,「ネットワークを用いたデータ活用」という内容についての学習効果という観点に加えて,「主体性」,「多様性」,「協働性」という行動評価の観点ついて,SILSが学生へ及ぼす身体的・心理的メカニズムを解析する.SILSがどのように実践活用され学習内容が知識へ転移するかを解析する. また,他の科目における学習効果の身体的・心理的メカニズムの分析を行う.他の科目,特に数学,理科においてSILSを用いた授業実践を通して,「学力定着」,「情報技術の活用」という内容についての学習効果という観点に加えて,「主体性」,「多様性」,「協働性」という行動評価の観点ついて,SILSが学生へ及ぼす身体的・心理的メカニズムを解析する.SILSがどのように実践活用され学習内容が知識へ転移するかを解析する. SILSを用いた学習支援手法の構築とカリキュラム案の策定を行う.各年代,各科目におけるSILS使用時の身体的・心理的メカニズム分析結果を反映した効率的で効果的な学修を実現する学修支援手法と学修カリキュラム案を策定する.標準的な学力と意欲・関心・態度を持つ学校・学生モデルを作成し,SILSを用いた授業実践を想定した学習支援手法を構築する.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定していた研究スケジュールがコロナ禍の影響もあり、進展が芳しくなかったため、予定が次年度に回ってしまったために予算使用も次年度回しとなってしまいました。
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