研究実績の概要 |
本研究は2時点の縦断調査を用いて、再雇用高齢者の自律的動機づけを促進することが可能となる職場要因について検討することを目的とした研究である。 60歳で定年退職年齢に到達した者のうち88.4%にあたる285,866人が引き続き、継続的に同一の企業で雇用されて働いている。「働けるうちは働きたい」というのは多くの高齢者の希望でもあり、それが実現できる仕組が整ってきている。しかし一方で、高齢者の就労においては、給与が低下したり、役職から解かれる等、処遇面での喪失的な変化を経験する場合が多く(伊藤, 2012)、高齢者の就労に対する動機づけを維持することが、難しいことも指摘されている(みずほ総合研究所,2006) 。 そのため、本研究は再雇用高齢者の就労動機づけの維持・向上のために有用な職場の要因を明らかにすることを目的とした。 1年目については、2019年9月から11月までの間の期間で、複数の調査会社のモニターを対象として調査を実施した。60歳以上で定年退職前と同一の企業で再雇用されて働いている高齢者(再雇用高齢者)を対象として調査を実施し、合計481名の回答を得た。 本研究において着目した職場に関連する要因は、職場における役割葛藤とあいまいさ(舟島他, 1997)、組織的公正(Shibaoka et al., 2010)、職場におけるソーシャルサポート(下光他, 2000)であった。1年目はこれらの要因と再雇用高齢者の自律的動機づけとの相関関係を確認しているところである。
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