研究課題/領域番号 |
19K14357
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
並川 努 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (10613721)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自己 / ノスタルジア / 継時的比較 |
研究実績の概要 |
本研究では,人が「過去」を想起したりすることと自己評価等との関連を,「ノスタルジア」や「継時的比較」などをキーワードに検討し,「過去」が担う役割を統合的に明らかにすることを目指している。特に,自己評価の維持や高揚に「過去」の想起がどのように寄与しているかを整理することを目指している。
本年度は,キーワードとなる「ノスタルジア」「継時的比較・社会的比較」「自伝的記憶」等に関連する論文や書籍のレビューを行い,「過去」と自己評価や精神的健康などとの関連について改めて課題を整理するとともに,「過去」や「ノスタルジア」を測定する既存の尺度や実験方法についても検討を行い,次年度以降に実施予定の調査計画をブラッシュアップした。
また,意識する比較基準(継時的比較・社会的比較)によって,自己に関する記述がどのように異なるかについてのデータを分析し,論文にまとめた。具体的には,大学生を対象に行った調査で,「継時的比較」および「社会的比較」に基づいた自己記述(例:過去の自分に比べて,現在の自分はどんな人か など)を求めたところ,「継時的比較」に基づいた記述の方が,「社会的比較」に基づいた記述よりもポジティブな記述を行いやすいことが示された。また,「継時的比較」の方が自己に関する記述を行いやすいことも示された。これらを通し,過去の自己を意識することが,ポジティブな自己観の形成につながる可能性を持つことが指摘された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度に予定していたレビュー等は概ね順調に進行しているが,新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり,一部で予定していた調査の実施や出張等を中止・延期したため。また,それに関連して,今後も調査の一部などを変更する予定であるため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況に関連して,当初予定していた調査が一部実施できない可能性が想定されるため,調査の方法および実施時期などを変更する予定である。主にウェブを用いた調査などの比重を多くする形で検討を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定していた調査や出張の延期や中止に伴い,次年度使用額が生じている。新型コロナウイルス感染拡大の状況等を見ながら,2021年中に予定していた部分を一部計画を修正しながら速やかに実施する予定である。
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