本研究の目的は,モラルライセンシング効果に着目し,先行の道徳行動が後の不道徳を促進する「ライセンス」となるか,あるいは更なる道徳行動を引き起こす一貫性をもたらすか,その分岐のプロセスを説明するために,1つの媒介要因(心理的Entitlement)と2つの調整要因(制御焦点と価値)から成る仮説モデルを提案・検証することであった。質問紙調査やオンライン実験を実施した結果,特性レベルでの道徳行動の蓄積の多寡が自身の行動に権利と正当性を高めて,結果として不道徳行動を起こしやすくしてしまう関係でのモラルライセンシング効果が示唆された。
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