研究課題/領域番号 |
19K14364
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
青木 隆太 東京都立大学, 人文科学研究科, 特任准教授 (50751103)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 社会神経科学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,自閉スペクトラム症(ASD)における社会的コミュニケーション不全を説明すると考えられている「社会的動機づけ仮説」を,脳機能イメージングを用いて検証することである。具体的には,「心の理論(theory of mind)」に関連する脳領域と「報酬処理」に関連する脳領域の相互作用がASD当事者と定型発達者でどのように異なるかに着目している。研究3年目である2021年度には下記の知見を得た。 1) 昨年度まで解析していたASD当事者と定型発達者の安静時fMRIの multi-site datasets (Autism Brain Imaging Data Exchange [ABIDE] 1 & 2) に加え,別のデータセット (Strategic Research Program for the Promotion of Brain Science [SRPBS]; Tanaka et al., 2021)を解析し,ASD当事者に特徴的な機能的ネットワークのパターン(デフォルト・モード・ネットワーク内の機能的結合の低下など)が再現されることを確認した。 2) 機能的結合指標に対する年齢の非線形な効果を考慮に入れた normative modeling を使用し,ASD当事者においてデフォルト・モード・ネットワーク内の機能的結合が normative model から負方向に逸脱しているほどADOSスコアが高いことを見出した。ただし,事後的な統計手法による施設間補正の効果は限定的であり,施設間での(データ収集前の)プロトコル統一の重要性を強調する結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
normative modeling, connectome-based predictive modeling などの統計手法を取り入れ昨年度までの結果をより発展させる知見を得たため。
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今後の研究の推進方策 |
関心領域のひとつであった小脳に関しては,ABIDEデータセットでは撮像範囲の欠損などの理由により解析に適したサンプルを十分に確保できなかったため,2022年度にSRPBSデータセットや新規に取得したデータを用いて解析をおこなう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19 の感染蔓延により対面での実験の実施に遅延が生じたため。
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