研究課題/領域番号 |
19K14367
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
鈴木 貴久 津田塾大学, 総合政策学部, 助教 (00774879)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 協力行動 / 評判 |
研究実績の概要 |
2020年度は、社会的状況を想定した交換状況における協力の維持を可能にする評判の生成ルールについて、2019年度に行った実験結果を一般化し、より包括的に説明可能なルールの検討を行った。これは、具体的なシェアリングエコノミー状況を考慮するための土台となるモデルの確立と、そこでの検証に必要となる外的要因の特定を目的としている。 一般交換状況における協力の維持に向けては、他者の評判情報が重要な役割を果たす。先行研究では、協力の維持を可能にする評判の生成方法については、対象者の過去の行動だけでなく、その交換相手の評判(二次情報)まで考慮する必要性が示されている。シェアリングエコノミーにおいても、信頼関係を構築するためには他者の評判が重要であり、その評判の生成方法に着目する必要がある。2019年度は、評判の悪い相手に対して非協力行動を行った人に対する評価についての実験を行い、そのような対象者の評判は良くも悪くもならずにその中間となることが示された。しかし、交換状況における評判が、良いか悪いかの二値ではなく中間を含めた三値として判断されているのか、その評価のメカニズムは明らかになっていなかった。そこで2020年度は二次情報と行動の全ての組み合わせについて評価を測定した。その結果、人々は他者の評判を3値で判断していることと、評判の悪い相手に対して非協力行動を行った場合のみ評価がキープされ、それ以外のケースでは行動に応じて上下に変動することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、人と人が直接会うような状況における信頼関係の構築を想定した実験を行う計画であったが、直接対面することが推奨されない現在の状況で行うと結果がかなり特異なものになりかねないため、社会状況を見極めながら実験の延期か変更を検討することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに用いてきたモデルにステレオタイプを生じさせるような対象者の属性情報を追加することで、評価にどのような影響が出るのかを検討する。また、オンライン上でコミュニケーションを行うような実際のシェアリングエコノミーサービス上のオンライン行動データの収集および分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度、人と人が直接会うような状況における信頼関係の構築を想定した実験を行う計画であったが、直接対面することが推奨されない現在の状況で行うと結果がかなり特異なものになりかねないため、実施を見送った。2021年度に延期して行うか、計画を変更してオンラインに特化した実験を行う予定である。
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