研究課題/領域番号 |
19K14371
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
土倉 英志 法政大学, 社会学部, 准教授 (00614637)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | サードプレイス / コミュニティカフェ / コンボイ / 人間関係 |
研究実績の概要 |
本研究はサードプレイスが機能する仕組みを明らかにすることを目的としている。2020年度はつぎの2点に取り組んだ。(1)コミュニティカフェを対象とするインタビューの分析、(2)新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえたアプローチの検討、の2点である。 (1)コミュニティカフェのオーナーを対象に2019年度に実施したインタビューの分析を行ない、コミュニティカフェにみられる共通性を整理した。 (2)本研究は、コミュニティカフェのフィールド調査を主たる研究手法として想定していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の広がりを受けて、フィールドでの調査には多くの困難が予想された。そこで目的の追究に向けて、別のアプローチについても検討し、準備を進めた。アプローチの基本的な考えはつぎのとおりである。 サードプレイスの機能を検討するにあたり、サードプレイスそれ自体に注目するのではなく、サードプレイスと利用者の関係性に注目したい。つまり、どのような人が、どのように利用するのか、という視点から、サードプレイスの機能や意味を検討したい。このような視点をとる意義はどこにあるのだろうか。心理学では、ある人にとって大切な人間関係を、その人を支えるコンボイ(護衛艦)ととらえてきた。これになぞらえれば、サードプレイスもまた、人びとの暮らしを、人生を、彩り、支えているものと位置づけられる。さらに言えば、サードプレイスにたいするニーズや利用の仕方は、その人を取り巻いている人間関係のあり方に依存することが考えられる。この点で、ある人のサードプレイスとのかかわりを問うときに、その人を取り巻く人間関係とともに把握することが求められる。以上のことから、サードプレイスの機能を追究するうえで、こうした視点をとることが有益であると考える。この関心の追究に向けて、(a)質問紙調査、(b)インタビュー調査を準備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の広がりにより、当初予定していたフィールド調査の計画を見直す必要が生じた。そこで、問いを追究する別のアプローチについても検討した。これにより遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の広がりを踏まえて、つぎの両面で検討を進めることとする。まず、社会状況が落ちついたさいは、コミュニティカフェのフィールド調査を実施していく。それまでは、「研究実績の概要」に示した課題に注力することとする。 後者については、サードプレイスにたいするニーズや利用の仕方を、人間関係の構造とともに把握することが目指されるため、これらを適切に調査するのに適した手法を開発する必要がある。まずは、2020年度に人間関係の構造を把握することを目指して実施したインタビューを分析し、質問項目を見直す。つぎに、2020年度に質問紙で人間関係を可視化することを目指して実施した予備調査の分析を行ない、質問紙調査の実現に向けて準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の広がりを受けて、フィールド調査を実施することができなかったこと、また、学会がオンライン開催になったために交通費の支出がなかったことが主たる理由である。質問紙調査の実施を計画している。
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