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2023 年度 実施状況報告書

社会関係資本の醸成に寄与するコミュニティカフェの特性に関するフィールド研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K14371
研究機関法政大学

研究代表者

土倉 英志  法政大学, 社会学部, 准教授 (00614637)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
キーワードサードプレイス / コミュニティカフェ / 居場所 / 心理的居場所 / 場にたいする信頼
研究実績の概要

本研究はサードプレイスが機能する仕組みを明らかにすることを目的としている。2023年度は主につぎの2点に取り組んだ。(1)コミュニティカフェのフィールド調査、(2)インタビューの分析、である。
(1)コミュニティカフェのフィールド調査を実施した。2019、2021年度に実施したオーナーを対象とするインタビュー、2022年度に実施した常連の利用者を対象とするインタビューに続き、今年度も継続して常連の利用者にインタビューへの協力を依頼した。そのほかに、コミュニティカフェが実施するイベントのフィールド調査を実施し、人びとのかかわりにおけるカフェの機能について理解を深めることを目指した。
(2)コミュニティカフェの利用者の語り(2022年度に実施したインタビュー)を分析した。まず、コロナ禍との関連に注目して分析を行った(土倉, 2023a)。コロナ禍で外出もままならないなか、足を運べる場所としてコミュニティカフェは相対的に重要性を増していたことがわかった。外出の自粛が要請されるなか、行きたいところがあっても行くことがためらわれる状況が続いていた。そうした状況において、コミュニティカフェに足を運ぶことを可能にした重要な要因として、「場にたいする信頼」と呼びうるものがあることが見いだされた。
つぎに、「場にたいする信頼」とはどのようなものかに注目して分析を行った(土倉, 2023b)。「場にたいする信頼」を構成する要素として、少なくとも3つの層があると考えられた。1つめは「オーナーにたいする信頼」、2つめは「利用者にたいする信頼」、そして3つめは「将来への漠然とした期待」であった。カフェという「場」で、オーナーや他の利用者と出会い言葉をかわす、また、イベントに参加したりして交流を深める。こうした具体的な過去の経験にもとづいて、カフェという「場」にたいする信頼がはぐくまれていることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の広がりにより、当初予定していたフィールド調査の計画を見直す必要が生じた。そこで、問いを追究する別のアプローチについても検討した。これにより遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

まず、「研究実績の概要」に記した(1)コミュニティカフェのフィールド調査については、データ分析と研究報告の準備を進めたい。つぎに、2023年度は質問紙調査を進めることができなかったため、サードプレイスと人称性に関する調査の実施に向けて準備を進めたい。さいごに、昨年度、調査を進める過程で、かつてサードプレイスだったにもかかわらず廃れてしまった場所や別のかたちで人びとの居場所になっている場所や活動についてヒントを得ることができた。たとえば、商店街、神社、子育て広場などを挙げることができる。このうち、2023年度は子育て支援センターのフィールド調査を実施し、サードプレイスとしての意味を検討した。こうしたテーマについても引き続き検討していきたい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の広がりを受けて、フィールド調査を実施することができなかったこと、また、学会がオンライン開催になったために交通費の支出がなかったことが主たる理由である。最近は学会が対面開催となっており、引きつづき、研究発表と調査の実施を計画している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] フィールドをめぐる認知科学としての「実践的研究」: 30年間のうつろいからみえてきたこと2023

    • 著者名/発表者名
      原田 悦子、土倉 英志
    • 雑誌名

      認知科学

      巻: 30 ページ: 56~62

    • DOI

      10.11225/cs.2022.075

  • [学会発表] 場にたいする信頼―不要不急が照らすコミュニティカフェの意味2023

    • 著者名/発表者名
      土倉英志
    • 学会等名
      日本グループ・ダイナミックス学会第69回大会
  • [学会発表] 場にたいする信頼とは何か―その醸成過程に焦点をあてて2023

    • 著者名/発表者名
      土倉英志
    • 学会等名
      日本質的心理学会第20回大会

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公開日: 2024-12-25  

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