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2020 年度 実施状況報告書

身体拡張のダークサイド: ウェアラブルロボット装用者に対する非人間的認知の生起

研究課題

研究課題/領域番号 19K14377
研究機関福山大学

研究代表者

宮崎 由樹  福山大学, 人間文化学部, 准教授 (70600873)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード身体拡張 / ウェアラブルデバイス / ウェアラブルロボット / ロボット / 物体化 / 非人間化 / 認知バイアス
研究実績の概要

2020年度実施した研究では,日本語版Mind Perception尺度と機械らしさ・人間らしさを測る尺度を用いて,ウェアラブルロボットの着用が人間性の評価に及ぼす効果を検証した。
クラウドソーシングの登録者約3,000名を対象にオンライン実験を実施した。実験参加者は,パワードスーツを装着しながら(または,同じシーンでパワードスーツを装着せず)大型荷物を運搬する画像刺激を観察し,日本語版Mind Perception尺度や機械らしさ・人間らしさを測る尺度の項目に回答した。3種類の大型荷物運搬シーンに繰り返し回答した。
ブルンナー・ムンツェル検定を用いて,ウェアラブルロボット着用画像・非着用画像間の差を比較した。Mind Perception尺度では,正の経験性は,ロボット非着用画像より,着用画像の方が高かった。負の経験性は,ロボット非着用画像より,着用画像の方が高かった。行為の主体性はロボット着用画像の方が。つまり,ウェアラブルロボット着用画像の方が感情を感じる能力が高く,行為・計画・自己統制などを実行する能力も高く知覚されるという結果になった。機械らしさ・人間らしさ尺度の結果,男性刺激画像では,ロボット着用画像の方が機械らしさが高く評価された。一方で,ロボット着用画像の方が人間らしさは低く評価された。つまり,ウェアラブルロボット着用画像の方が機械らしさが高く,人間らしさが低いという結果になった。
結果をまとめると,本研究で用いた2種類の尺度間で異なる結果があらわれた。この結果の違いについては,現在検討中であるが,両者の尺度の結果が真逆になったことは,非人間化には,低次なレベルで生じるものと,高次なレベルで生じるものとが存在することを示唆しているのかもしれない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画通りに,オンライン実験については概ね完了した。
ただし,COVID-19の感染拡大により,対面実験の中止を余儀なくされたため,実験室での行動実験の実施に遅れが出た。この課題に関しては,2020年度中にオンライン実験環境を構築し,クラウドソーシングサービスを利用したオンラインでの行動実験を行うことができるようにした。この対処により,2021年度に2020年度分の遅れを取り戻す予定である。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策は以下の3点である。
(a)国際比較研究への発展: 2020年度に実施したオンライン実験を欧米諸国で追試する予定である。質問票の英訳を終え,現在はオンライン実験用ソフトへの実装段階である。準備が完了次第,Prolific等のサービスを用いて実施する予定である。このオンライン実験が完了次第,本研究の発表,論文化を行う。
(b)行動実験に関する方針転換: COVID-19の収束タイミングの判断がつかないため,対面での実験から,クラウドソーシングサービスを利用したオンライン実験に変更する。そのためのソフトウェア契約・購入は完了済みである。
(c)生理心理実験に関する方針転換: 身体認知特異的な生理指標にもとづき,早期の情報符号化段階でウェアラブルロボット装用者に対する物体的認知が生じるのか,それとも意味解釈の結果で生じるのかを明らかにする予定であったが,COVID-19の収束タイミングが読めないため,生理心理実験の実施についてはペンディングとする。社会情勢に応じて,生理心理実験が実施ができない場合には,オンラインで実施可能な行動実験のボリュームを増大させる。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の流行により,国内および国際学会に関わる旅費を利用しなかったため,次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] 福山大学認知心理学研究室

    • URL

      https://y38zaki.weebly.com/

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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