研究課題/領域番号 |
19K14382
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
鈴木 雅之 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (00708703)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自己調整学習 / 統制-価値理論 / 学習方略 / 達成関連感情 / 教師サポート |
研究実績の概要 |
学習方略は学業達成を規定する重要な要因であり,主体的に学習に取り組むためにも適切な方略を身に付けることは重要である。これまで,学習方略の使用に影響を与える影響については様々な検討がなされてきたが,学習者が学習中に経験する感情にはあまり注意が向けられてこなかった。そこで本研究では,感情と学習方略使用の関連を検討することに加えて,その関連を調整する要因について検討することを目的とした。 本年度は,昨年度に作成した尺度(Japanese Version of Achievement Emotions Questionnaire-Elementary School; AEQ-ES-J)を用いて,小学生を対象に縦断調査を行った。得られたデータに対して,交差遅延パネルモデルによる分析を行った結果,たとえば,国語の授業において退屈さや不安を強く感じる児童ほど丸暗記を志向した学習をするようになることが示された。また,意味の理解を志向して授業を受ける生徒ほど退屈さや不安を経験しにくくなることが示された。さらに,こうした感情と学習方略使用の関連が教師のサポートによって異なるかを検討した結果,教師のサポートの効果はみられなかった。一連の結果は,先行研究や統制-価値理論(control-value theory)と整合するものであり,効果的な学習方略の使用を促進するためには,学習観や認識論的信念のような認知的要因のみならず,感情的要因にも着目することが重要であると示唆された。 また,本調査では同一児童に対して国語と算数の2教科について回答を求めたことから,教科を超えて学習方略の使用や感情が転移するかについても検討を行った。その結果,学習方略の使用や感情は教科間で転移しないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響により,調査協力校が限定され,調査開始時期が遅れたため,全体としての進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は,令和2年度に調査を行った学校で継続して調査を行い,学習方略使用に対する感情の影響について,より精緻な検証を行う。また,異なる対象者に調査を実施し,感情と学習方略の関連を調整する要因について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により,調査期間が全体的に後ろ倒しになり,次年度により多くの予算が必要となったため,次年度使用額が生じた。
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