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2020 年度 実施状況報告書

達成目標が学習判断にバイアスを発生させるメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K14384
研究機関東海学院大学

研究代表者

池田 賢司  東海学院大学, 人間関係学部, 講師(移行) (30808332)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード動機づけ / 達成目標 / メタ認知的判断
研究実績の概要

学習場面において,学習者は何らかの目標を持って学習を行う。達成目標理論では,達成目標の質的違いが学習過程に影響することが想定されている。特に,達成目標は学習者自身の能動的学習活動(自己制御学習)に影響することが示唆されている。自己制御学習では正確な学習判断が重要であり,もし学習判断を誤れば効果的な学習は実現しない。しかしながら,達成目標の学習判断への影響について検討した研究は極めて少なく,達成目標が学習判断にバイアスを生じさせることが明らかになっているものの,そのメカニズムの解明には至っていない。令和2年度では当初の研究計画に従い,達成目標が直接メタ認知的判断にバイアスをもたらすかを達成目標に関する信念の観点から検討した。
令和2年度では,当初計画していた実験と追加実験の計5つの実験を行った。その結果,学習前にもかかわらず,遂行接近目標が教示された場合,習得接近目標が教示された場合に比べてメタ認知的判断が高くなることが示された。さらに,メタ記憶系列位置曲線の観点から,メタ認知的判断における目標間の差は学習経験によって調整されない可能性も示唆された。加えて,仮想実験に関する文章(習得接近目標が与えられて学習するグループと遂行接近目標が与えられて学習するグループが記憶課題に取り組む)を読んだ後で,各グループの成績を予測させたところ,遂行接近目標条件の方が,習得接近目標条件よりも予測は高かった。この結果は,遂行接近目標が習得接近目標に比べて学習にとって有益だという信念を持つ傾向があることを示唆するものである。また,学習中の努力に関する研究として,達成目標が符号化方略に与える影響について検証した論文が出版された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初予定した研究に加え,次年度に予定していた達成目標が学習経験とメタ認知的判断に及ぼす影響について,令和2年度の研究で一定の知見が得られたため,当初の計画以上に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

達成目標とメタ認知的判断に関して,学習努力の視点を取り入れた検証を行う。また,令和2年度の研究より,信念の影響が大きい可能性が示唆されたため,達成目標に関する信念に焦点当てた検討についても追加で実施する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Achievement goals affect memory encoding2021

    • 著者名/発表者名
      Ikeda Kenji, Kakinuma Kyosuke, Jiang Juming, Tanaka Ayumi
    • 雑誌名

      Contemporary Educational Psychology

      巻: 65 ページ: 101945~101945

    • DOI

      10.1016/j.cedpsych.2021.101945

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 達成目標と学習方略の関係性―メタ分析を用いた検討―2020

    • 著者名/発表者名
      池田賢司・江聚名・柿沼亨祐・田中あゆみ
    • 学会等名
      日本教育心理学会第62回総会

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公開日: 2021-12-27  

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