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2020 年度 実施状況報告書

生物心理社会モデルに基づく日本人青年の自殺機序の解明と予防的介入方法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K14385
研究機関奈良教育大学

研究代表者

石井 僚  奈良教育大学, 学校教育講座, 准教授 (50804572)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード自殺 / 抑うつ / 社会経済的地位 / 金融リテラシー
研究実績の概要

2020年度は、申請時の研究計画のうち、主に[2]の社会人青年を対象とした自殺メカニズムの検討を推進した。
社会人青年を対象として、社会経済的地位という社会的要因と、金融リテラシーという心理経済的要因に着目した質問紙調査を行い、その分析を行った。社会人青年を含む多様な年齢層の会社員2,173名を対象に質問紙調査を行った。なお先行研究において自殺のリスク要因とされる抑うつ症状を指標として調査を行った。重回帰分析の結果、先行研究通り、自殺のリスク要因となる抑うつ症状は社会経済的地位と関連していることが示されたことに加え、金融リテラシーとの関連および金融リテラシーと社会経済的地位の交互作用が有意であった。単純傾斜分析の結果、金融リテラシーが高い個人は、金融リテラシーが低い個人に比べて、社会経済的地位と抑うつ症状との関連が弱いことが示された。理論から想定された通り、社会経済的地位に起因する抑うつ症状は、経済的な効力感と関わっていると考えられる。
また、金融リテラシーによるこの調整効果は、認知能力等、関連が指摘されてきた変数を統制した上でも見られている。そのため、偏回帰係数の値は大きくはないものの、金融リテラシーへの教育的な介入によって、社会経済的地位に起因する抑うつ症状を改善できる可能性が示唆されたといえる。
以上の結果は、日本心理学会第84回大会において発表され、現在は国際学術誌への投稿準備を行っているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の流行および緊急事態宣言の発令の影響で、当初予定していた縦断調査および実験の実施が、依頼先の要望によって遅れている。

今後の研究の推進方策

2020年度に行った横断調査では、仮説通りの結果が得られており、2019年度に行った予備調査等の結果も考慮しながら、次年度は時期を見て縦断調査および実験を進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の流行および緊急事態宣言の影響により、本年度に予定していた縦断調査および実験が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度に改めて当該調査および実験を行うことで、使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 社会経済的地位と抑うつの関連に対する金融リテラシーの調整効果2020

    • 著者名/発表者名
      石井 僚・大山 拓也・遠藤 秀紀
    • 学会等名
      日本心理学会第84回大会

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公開日: 2021-12-27  

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