研究課題/領域番号 |
19K14385
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
石井 僚 奈良教育大学, 学校教育講座, 准教授 (50804572)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自殺念慮 / 時間的展望 / Balanced Random Forest / 青年期 / 自殺の対人関係理論 |
研究実績の概要 |
2021年度は、申請時の研究計画のうち、主に[1]の、学校教育段階の青年を対象とした、家庭のSESや未来展望に着目した青年の自殺メカニズムの検討を推進した。 具体的には、青年の未来展望とその親子間の一致および家庭のSESに着目し、理論的に関連が考えられるその他の変数とともに、10代青年の自殺念慮の予測を行うことを目的とした研究を行った。1,137名の中高生とその父母1,906名の回答からなる社会調査データを用いて、機械学習の1手法であるBalanced Random Forestによる予測を行った。その結果、検証用データセットにおいて自殺念慮ありのデータを全て自殺念慮ありと予測でき、全体での予測の正確度は8割程度であった。また、教育段階に関する親子の未来展望の一致、家庭のSESは、Balanced Random Forestのいずれの重要度の指標においても、先行知見や理論から重要と考えられる本研究で用いた全ての変数の中で上位であった。そのため、10代日本人青年の自殺念慮の予測に対して、親子の未来展望の一致、そして家庭のSESの重要性が示された。そして、親子の未来展望の一致といった発達的な側面と文化的な側面を考慮した、この時期に特有の対策が必要であることが示唆された。 以上の結果は、14th International Congress of Clinical Psychologyにおいて発表後、国内学術誌へ投稿し、現在はその審査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度内の進捗は当初の予定通りである一方、新型コロナウイルス感染症の流行および緊急事態宣言の発令の影響によって前年度までに生じた遅れは取り戻せていない。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に行った横断調査、2021年度に行った社会調査データを用いた研究結果を考慮しながら、次年度は引き続き調査を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行および緊急事態宣言発令の影響により、前年度までに当初予定していた縦断調査および実験の実施が遅れたため、今年度についても引き続き次年度使用額が生じた。次年度も引き続き、当初予定されていた調査と実験実施にかかる額を使用していく予定である。
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