研究実績の概要 |
本研究では、(1)新しいタイプの抑うつ症候群(以降、新抑うつとする)の重症度概念を検討し、(2)それを測定する尺度を作成し、(3)現場における利用可能性を検討することを目的とする。 2019年度には3つの課題を設定した。1つ目の課題は、新抑うつの概念定義及び発症モデルを理論化することである。これについて、既出の発症機序に関する仮説枠組みをもとに、近年の当該分野における研究の進展も踏まえて発症モデルを構築し、論文として発表した(1。2つ目の課題は大規模調査を実施し、新抑うつの重症度を測定する尺度項目を選定することである。これについては22歳から59歳の会社員男女400名を対象としてオンライン調査を実施した。その成果は日本心理学会第83回大会の公募シンポジウムにおいて発表した(2。3つ目の課題は作成した尺度の予測的妥当性を検討するための縦断調査に着手することである。これについては、内定の決まっている大学4年生を対象として2020年3月に第1回調査を実施し、802名からの回答を得た。調査は現在継続中である。
成果 1)坂本真士・山川樹 (2020). 対人過敏・自己優先型抑うつの提唱―「新型うつ」の心理学理論―, 日本大学文理学部人文科学研究所研究紀要, 99, 109-140. 2)坂本真士・山川樹(企画)(2019). 公募シンポジウム86 新しいタイプの抑うつ症候群への心理学アプローチ―「新型うつ」とは何だったのか―, 日本心理学会第83回大会, 9月, 大阪
|