研究課題/領域番号 |
19K14394
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研究機関 | 東洋英和女学院大学 |
研究代表者 |
小井塚 ななえ 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 講師 (40791900)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 変声期 / 身体化 |
研究実績の概要 |
研究初年度である2019年度は、まず教育雑誌の分析及び、変声経験者への聞き取り調査の分析を通して、「変声」という個人的な変容がどのように語られてきたのか、さらに個人の中では身体・環境・心の相互作用によってどのように身体化されるのか、新しい声と出会い獲得していく過程の分析と言語化を試みることとした。 学校教育の文脈では、指導という側面での教師からの働きかけが主であり、声を可視化したり、客観的に考える取り組みがある一方で、授業の中で「変声」という事象を共有・共感しようとすることで抜け落ちる個の感覚の重要性が明らかになった。また、個人への聞き取り調査では、変声は音楽の場でより意識され、良くも悪くも音楽することで鮮明に身体に記憶されることが明らかになると同時に、個々の内部探索に基づく言語化は、一時的な不調状態からの脱却の手段として機能する可能性が示唆された。今後は聞き取り調査の対象を拡大し、より多くのデータを収集する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1月以降の新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、多くの合唱団が練習を中止としたこと、県外への移動が困難になったことによって、2019年度に予定していた合唱団へのフィールドワークの実施が困難になってしまった。よって、2019年度の進捗状況が大幅に遅れるとともに、計画の立て直しを余儀なくされている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
各合唱団への練習再開の可能性や時期について調査を行い、研究推進の方策について再検討を行う。 ひとまず2020年度の前半は、文献調査を中心に進めることとする。 個人への聞き取り調査等は、オンラインで行うことができるのかそのあたりの研究方法や研究環境、データの管理方法についても情報を収集し、再検討をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は文献研究及びデータ収集のための計画・下準備に費やした期間が長く、予定よりも備品、謝金等の経費支出が少なかったため次年度使用額として計上した。また、2019年度に実施ができなかったフィールドワークの予定を2020年度以降へと変更したことによる旅費等の使用計画に変更が生じた。
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