研究課題/領域番号 |
19K14397
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
蒲谷 槙介 愛知淑徳大学, 心理学部, 准教授 (20758049)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アタッチメント / 調律的応答 / 身体的同調性 / 乳幼児 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,親が乳幼児に対して行う調律的応答と子どもに対する親の身体的同調性の関連性を検証することである。親の身体的同調性の特徴を浮き彫りにするために,子育てを経験していない大学生を比較対象とするが,まずはこれらの対象者に共通して適用可能な身体的同調性の計測手法を開発する必要がある。1年目の2019年度は①調律的応答の学術的な位置づけを見直すこと,②VRシステムと複数の身体運動計測機器(加速度センサ,フォースプレート)を統合的に用いて,乳児一般への大人の身体的同調性をデータ化するシステムの構築に取り組んだ。 先行研究では親のアタッチメント・スタイルが乳児に対する調律的応答の生起を左右することが見出されている一方,身体的同調性はいわば親の子どもへの共鳴・共振と見なすことができ,親子間のコミュニケーション的音楽性(Malloch & Trevarthen, 2009)と接点を持つと考えられる。本研究で着目する身体的同調性を伴いうる調律的応答は,アタッチメント理論と音楽性概念のはざまに位置づく現象と捉えることができるが,この視点はこれまで明確化されてこなかったため,文献レビューを行った(蒲谷, 2020)。並行して,生後5~18ヵ月の乳児7名の様々な対人的ふるまいを360度カメラで個別に撮影し,乳児が明確な身体動作や情動を呈している等,VR呈示に適した場面を選定した。 以上の取り組みによって,本研究で着目・抽出すべき身体的同調性の定義を絞り込むと同時に,身体的同調性計測システムの開発に着手することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
身体的同調性計測システムを構成する機器類を予定通り全て揃えることができ,また実験刺激として用いる乳幼児の360度動画素材も十分得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度中に身体的同調性計測システムを完成し,予定通り,大学生を対象とした乳児一般に対する身体的同調性の計測を実施する。この時,身体的同調性と対象者自身のアタッチメントスタイル,乳児との接触頻度の関連性を検証し,今後,乳幼児の親と比較するための基礎データとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大防止のため,参加予定であった日本発達心理学会第31回大会(大阪国際会議場)が中止となり,旅費として執行予定であった金額分が余ることとなった。この残余分は2020年度の請求助成金と合わせ,国内学会参加費,研究参加者への謝礼,海外文献の購入,予備のワイヤレスモーションセンサの購入のために執行予定である。
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