研究課題/領域番号 |
19K14401
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研究機関 | 大阪成蹊大学 |
研究代表者 |
清水 真由子 大阪成蹊大学, 教育学部, 講師 (60707793)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 感謝 / 向社会的行動 / 発達 |
研究実績の概要 |
協力的な社会を維持するための一つの原理として間接互恵性がある。間接互恵性とは、誰かを助ければ、それを見ていた別の誰かが自分を助けてくれる、あるいは誰かを助ければそれが回りまわって自分に返ってくるという、「情けは人の為ならず」ということわざのような関係性のことである (Nowak & Sigmund, 2005)。近年、間接互恵性を成立させるための至近要因として「感謝」が注目されている。助けてくれた相手に感謝することによって、助けてくれた相手への向社会的行動だけでなく、関係のない第三者に対しても向社会的行動が動機づけられ、それにより社会の中で向社会的行動が回りまわって協力的な対人関係が構築・維持されていく。本研究では感謝が向社会的行動を動機づけるのかを発達的側面から検討することを目的とした。さらに、感謝理解や感謝行動が幼児の社会的関係構造にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的とした。 5~6歳児を対象に、感謝理解が実際の感謝行動に反映するのか、そして感謝理解が向社会的行動を動機づけるのかを検討した。Nelson et al. (2013) で幼児の感謝理解を測定するために用いられた紙芝居課題を参考に、①他者から好意を受けたらポジティブ感情を抱くか、②ポジティブ感情が好意を施した相手と結びついているか、③好意を施した相手が困っていれば助けるべきか、もし助けるのであればその理由、という三つの項目から感謝理解の程度を得点化した。紙芝居課題と並行して、自由遊び場面で行動観察を行い、幼児の向社会的行動を記録した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題や行動観察のデータ収集はおおむね順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
観察された向社会的行動の頻度と、紙芝居課題から測定された感謝理解の程度との関連を分析し、幼児の感謝理解が実際の向社会的行動に影響しているのかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症対策により、発表を予定していた日本発達心理学会第31回大会が「大会は成立したものとするが,開催期間に会場には参集しない」という措置となった、また予定していた保育所におけるフィールドワークが中止となったため、当初予定していた旅費の執行がなくなったため。 次年度、感染症対策が落ち着いたら、国内外の学会発表、保育所でのフィールドワークを再開していく計画である。
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