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2021 年度 実施状況報告書

感謝の向社会的行動動機づけ機能に関する発達心理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K14401
研究機関大阪成蹊大学

研究代表者

清水 真由子  大阪成蹊大学, 教育学部, 講師 (60707793)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード感謝 / 向社会的行動 / 文化比較 / 発達
研究実績の概要

感謝と一口に言っても、他者の善意をありがたいと感じることもあれば、申し訳ないと感じることもある。文化比較研究から、日本人では感謝が生起されやすい状況での感情体験として、「心苦しい」という負債感や申し訳なさが生じやすいことが報告されている。先に述べたNelson et al. の先行研究はアメリカで実施された研究であるが、日本の幼児の感謝理解と違いがみられるのかはこれまで検討されていない。本研究は、幼児期の感謝理解の特徴を明らかにすることと、その特徴に文化差が見られるのかを検討することを目的とした。
2021年度は、感謝理解を測定するための課題場面における子どもへのインタビュー内容のトランスクリプションをもとに、詳細な分析を行った。その結果、日本の幼児はアメリカの幼児と比べて他者から好意を受けたあとポジティブ感情を報告しやすかった。また日本の幼児はポジティブ感情と好意を施してくれた相手を結び付けて理解する傾向が強かった。負債感や申し訳なさと関連する感情の報告は見られなかった。
日本の幼児はアメリカの幼児と比べて、相手が好意を施すために多くのコストを払った場合、その相手へのお返しの理由として互恵性を挙げることが多かった。日本の子どもたちは、相手のコストが大きかった場合、その後のやり取りで互恵性を意識しやすく、道徳的な美徳として感謝を理解する度合いが高いのかもしれない。反対に、相手が好意を施すために払ったコストが少なかった場合、日本の子どもたちはアメリカの子どもたちよりもお返しの理由として社会的慣習を挙げることが多かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度もオンライン授業の準備等、教育活動に多くの時間がとられ、研究活動のための十分な時間を確保することが難しかったため。

今後の研究の推進方策

実施済みの課題に関して、文化比較も含めた詳細な分析はほぼ完了している。今後は投稿論文の執筆や学会発表等、積極的に研究成果をアウトプットしていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスの影響により、予定していた保育所におけるフィールドワークが中止となったため、当初予定していた旅費の執行がなくなり、次年度使用額が生じた。
次年度、感染状況をみながらではあるがフィールドワークの再開を目指すこと、加えてすでに収集されたインタビュー内容の分析手法の改良を目指すことを計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Short-term direct reciprocity of prosocial behaviors in Japanese preschool children2022

    • 著者名/発表者名
      Kato-Shimizu Mayuko、Onishi Kenji、Kanazawa Tadahiro、Hinobayashi Toshihiko
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 17 ページ: 1-19

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0264693

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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