研究課題/領域番号 |
19K14403
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研究機関 | 神戸親和女子大学 |
研究代表者 |
松本 麻友子 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 准教授 (00771693)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 抑うつ / 生活分析的カウンセリング法 / 心理教育 / アプリケーション |
研究実績の概要 |
本研究では、大学の講義で導入し、かつ日常生活においても実施可能なスマートフォン向けアプリケーションを用いた生活分析的カウンセリング法(Life Analytic Counseling; LAC法)による抑うつ軽減プログラムを開発し、短期的・長期的な効果を明らかにすることを目的としている。 研究計画に基づき、初年度に予定していた抑うつ軽減プログラムのアプリケーション作成に向けた予備調査を行った。まず、LAC法を理解してもらうために大学生7名を対象に紙筆版のプログラムを2週間実施した。続いて、プログラム実施後に面接調査を行い、アプリケーション版に必要な機能、コンテンツについて尋ね、アプリケーション作成に役立つ情報を収集した。 また、次年度以降にアプリケーション版プログラムとの効果を比較するために、紙筆版プログラムに関する研究データを整理した。具体的には、これまでに実施した紙筆版プログラム(1か月間隔で2回のLAC法及びLAC法実施後のフィードバック(週1回)から構成されるプログラム)の効果を検証するために、抑うつ、個人特性(反すう、自律性欲求)、生活習慣(学習時間、アルバイト時間、睡眠時間)、生活満足度に関する質問紙調査のデータを再分析した。その結果、紙筆版のプログラムは、抑うつの悪化を抑える効果だけではなく、学習時間の増加や生活満足度の向上など生活習慣の改善にも有効であることが示唆された。なお、この知見については、本年度に2件の学会発表および1件の学術論文として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の計画は、大学生を対象にLAC法によるアプリケーション版の抑うつ軽減プログラムを開発することであった。 研究計画に基づき、アプリケーション作成に向けた情報収集を目的に予備調査を行った。その結果を踏まえて、アプリケーションを作成し、抑うつ軽減プログラムを試験的に実施する予定であった。しかし、モバイルヘルスに関する先行研究のレビューや既存のアプリケーションの機能に関する資料収集に時間をかけたため、アプリケーションの試作まで至らず、当初の計画から若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、スマートフォン向けアプリケーションを用いたLAC法による抑うつ軽減プログラムを試作する。本年度の予備調査やモバイルヘルス、抑うつの予防・軽減に関する先行研究のレビュー等による情報収集の結果を踏まえ、大学の講義で心理教育の一環として実施可能なアプリケーションを作成する。続いて、本年度に紙筆版プログラムを実施した大学生7名とLAC法初見の大学生を対象にアプリケーション版のプログラムを2週間試験的に実施する。さらに、対象者にプログラムの閲覧頻度や使用感、難易度等について面接調査を実施する。これらの結果をもとに介入方法や内容を精査し、プログラムを洗練させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
【次年度使用が生じた理由】現在、研究の実施状況が計画よりも遅れており、アプリケーション作成やプログラムの試験的実施には至らなかった。そのため、アプリケーション作成のための外注費、プログラム試行に伴う人件費・謝金等が執行されておらず、次年度使用額が生じている。 【使用計画】アプリケーション作成のための外注費、調査参加者への謝金、調査で得られたデータの整理にかかる費用、成果発表のための費用として使用する予定である。
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