研究課題/領域番号 |
19K14406
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
浦上 萌 椙山女学園大学, 人間関係学部, 講師 (70805762)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 心的数直線 / 数量概念 / 操作 / 幼児 |
研究実績の概要 |
数量の知識や能力を規定すると考えられる心的数直線は,幼児期後期に形成される。心的数直線は数直線上で数を見積る数直線課題により可視化されるが,頭の中にある心的数直線に基づいて方略が決まる。その心的数直線の方略を決定するためには,頭の中で操作する必要があることから,本研究では数直線課題を改良し,幼児期における心的数直線の操作の実態を明らかにすることを目的としている。具体的な改良点としては,左から右に,小さい数から大きい数へと横向きに置かれた20cmの数直線で見積る課題に加え,10cmや40cmの長さの数直線を見積る課題,向きを左から右だけでなく,右から左,上から下,下から上の数直線課題を実施する。 以上のような方法で心的数直線の操作の実態を明かにすることができれば,心的数直線と見積る行為のギャップを埋めた新たな発達過程の枠組みを提唱できると考えられる。 本年度は,その前段階として,これまでに取得してきたデータを中心に,心的数直線と方略の中でも計数方略との関わりについて国際学会等で発表し,その成果を国内外の研究者と議論した。そこでは,日本人幼児が数直線上で数を数えて見積る計数方略が多いという特徴について関心を持たれ,日本の数え文化の影響や保育の中での数量活動の扱われ方についても紹介し,文化的な背景とその方略との考察について報告した。以上の内容も踏まえながら,現在論文執筆を進めているところである。 さらに,新規に開拓した幼稚園において保育の中で行われている数量活動について観察を行った。数直線課題を実施する前段階として,保育の中での数量活動の実態を把握し,課題の結果との関連も検討できるように準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度から所属機関が変更になったことで,新たな受け入れ先との新規開拓に時間がかかった。また,新規開拓した園で観察をさせていただきながら子ども達とのラポール形成を行い,2月頃から課題を実施する予定であったが,受け入れ先との調整が難航し,研究概要で示したような新たな課題を使用したデータ取得が未定の状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,当該年度に予定をしていた長さのバリエーションを増やした数直線課題に加え,左右の向きと上下の向きを取り入れた数直線課題を4歳~6歳児に実施する予定である。具体的には,従来使用された20cmの長さに加え,10cmと40cmの長さの数直線を示すものと,左から右に小さい数から大きい数へ配置された数直線に加え,右から左,上から下,下から上のパターンを参加者内計画で実施する。 なお参加者に関しては,予定していた保育園に加え,新規開拓や個別に参加者を募集する方法も考えて実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に実施する予定で未実施であった実験に関わる人件費,課題を印刷する印刷代,さらに,実験実施にあたり必要なビデオカメラと三脚などを使用する予定である。
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